2010 Fiscal Year Annual Research Report
年齢推定および外見推定マーカーを利用した該当者絞込み指標による個人識別の高度化
Project/Area Number |
22249023
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安田 年博 福井大学, 医学部, 教授 (80175645)
|
Keywords | 個人識別 / 年齢推定 / 身長推定 / 転写抑制因子 / ZNF205 / SNP / deoxyribonuclease I / high mobility group-A2 gene |
Research Abstract |
本研究では法医学的試料からの年齢・外見推定による該当者の絞込みによって個人識別の高度化を図る。そこで、年齢依存性生体分子を年齢推定マーカーとして、さらに外見を規定する遺伝マーカーを外見推定マーカーとして、"該当者絞込み指標"に利用することを目的として研究を進める。その結果、以下のことが明らかとなった。 1. 従前の研究で明らかにした年齢依存性を示すマウス転写抑制因子RhitのヒトホモローグKruppel-related zinc finger因子ZNF205を同定した。乳癌由来培養細胞MCF-7を用いRACE法によってZNF-205 full-length cDNAをクローニングしたところ、ZNF205たんぱく質にはマウスRhitに比べ一つのエキソンに相当するアミノ酸配列が挿入されていた。次年度、ZNF205発現の年齢依存性を精査することとしている。 2. 年齢依存性を示すヒトDNase I発現の遺伝的基盤を明らかにするため、非同義置換型SNP12座位に着目した。これら全てのSNPの遺伝子型判定法を確立し、アジア人、アフリカ人および白人集団について集団調査したところ、4座位(Q222R、R-21S、G105R、Y95S)で全てのまたは一部の集団で多型性が見られた。残りのSNPは全てmono-allelicであり、ヒトDNase I遺伝子の遺伝的多様性は比較的乏しいことが明らかとなった。さらに、SNP Q38H、R85H、C209Y、Q222RおよびA224Pに対応するアミノ酸置換によってDNase I活性は低下した。従って、DNase I活性変動を精査する際、対象者についてこれらSNPの遺伝子型を考慮しなければならない。 3. 外見推定マーカーとして、身長関連遺伝子に着目した。白人集団などで身長を規定する遺伝子としてhigh mobility group-A2 gene (HMGA2)が知られている。そこで、日本人集団においてHMGA2のSNP rs1042725およびrs7968682と身長の相関を調べたところ、それぞれのC-alleleおよびT-alleleは有意に身長の伸長に関与していた。従って、日本人集団においても、HMGA2は身長関連遺伝子の一つであることが明らかとなった。
|