2011 Fiscal Year Annual Research Report
年齢推定および外見推定マーカーを利用した該当者絞込み指標による個人識別の高度化
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22249023
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安田 年博 福井大学, 医学部, 教授 (80175645)
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Keywords | 個人識別 / 年齢推定 / 身長推定 / 転写抑制因子 / RhitH / SNP / LHX3-QSOX2 / IGF1 |
Research Abstract |
1.前年度にマウス年齢依存性転写抑制因子Rhitのヒトホモローグhuman regulator of heat-induced transcription (RhitH)を同定した。本年度はその機能、および遺伝子発現機構を精査した。その結果、①マウス年齢依存性生体分子M-LPのヒトホモローグであるhuman Mpv17-like protein (M-LPH)遺伝子はRhitHによって発現抑制調節される、②転写抑制因子FOXD3および転写促進因子GABPが RhitH遺伝子の発現調節に関与する、③RhitH/M-LPHは酸化ストレスやアポトーシスから細胞を防御する機構に関与する、④Rhit/M-LPH の発現レベルは胎児および成人で逆相関を示し、ヒトにおいてもRhit/M-LPHは年齢依存性を示す、ことが明らかとなった。 2.Rhitの生理的機能を解明するため、本年度および次年度でRhit遺伝子改変マウスを作成する予定であり、その作成作業を継続している。 3.外見推定マーカーとして、身長関連遺伝子に着目した。本年度は、身長関連遺伝子であることが示唆されたLIM homeobox 3-quiescin Q6 sulfhydryl oxidase 2 (LHX3-QSOX2)のSNP rs12338076およびinsulin-like growth factor 1 (IGF1)のSNP rs1457595, rs17032362について、日本人集団においてそれぞれの遺伝子型と身長の相関を調べたところ、有意な相関性は認められなかった。さらに、これらSNPの分布は人種特異的であり、アジア人種における異なる集団間にも分布の差異が見られた。従って、LHX3-QSOX2およびIGF1の身長関連遺伝子としての身長決定への寄与は少ないものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由から、「おおむね順調に進展している」と判断した。 ①当初計画していた、年齢依存性生体分子RhitのヒトホモローグRhitHについて遺伝子発現機構および生理的機能が解明でき、その成果をFree Radical Biology & Medicine誌に公表した。 ②当初計画していた、外見推定マーカーとしての身長関連遺伝子LHX3-QSOX2およびIGF1が検証でき、その成果をLegal Medicine誌に公表した。 ③本研究の遂行によって、関連研究を含め研究成果を20報の雑誌論文として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
①本年度および次年度で作成する予定であるRhit遺伝子改変マウスの作成作業が若干遅れているが、次年度中に作成を完了させ、解析に用いることとしている。 ②年齢推定マーカーとなる新規な年齢依存性生体分子や遺伝子を同定するためには異なる年齢層の試料が不可欠であり、前年度に続き連携研究者に採取を依頼し、収集を進める。 ③外見推定マーカーとして、次年度はbody mass index、臓器重量などに関係する遺伝子の遺伝子型―表現型相関を調べることとしている。
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