2012 Fiscal Year Annual Research Report
年齢推定および外見推定マーカーを利用した該当者絞込み指標による個人識別の高度化
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22249023
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安田 年博 福井大学, 医学部, 教授 (80175645)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 個人識別 / 年齢推定 / 転写抑制因子 / RhitH / M-LPH / DNase / functional SNP / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
1.前年度からの継続として、マウス年齢依存性転写抑制因子regulator of heat-induced transcription (Rhit)の生理的機能を解明するため、Rhit-/Rhit-マウスを作成した。Rhit-/Rhit-マウスは胎生致死ではなく正常に分娩された。現在、Rhit-/Rhit-とRhit+/Rhit+マウス間の遺伝子発現状態の差異を解析している。2.前年度にマウスRhitのヒトホモローグRhitHを同定した。本年度は、マウス年齢依存性生体分子Mpv17-like protein (M-LP)のヒトホモローグであるM-LPH遺伝子発現へのRhitHの関与をプロモーター解析、RNAi発現抑制解析等によって精査した。その結果、M-LPH遺伝子はイントロン1内に座位する結合部位を介してRhitHによって発現抑制調節されていることが明らかとなった。3.RhitH遺伝子内には多数の非同義置換型SNPが座位する。RhitHの生理的役割を解明する一環として、遺伝子発現抑制に直接関与するKRABドメイン内に座位するSNPに着目し多集団における分布調査と遺伝子型―活性相関解析を実施した。これらSNPは3大人種を含む異なる14集団においてすべてmono-allelicな分布を示したが、そのうちp.R135Wのminor alleleは遺伝子抑制効果が減弱するRhitHを産生した。遺伝子発現抑制効果を減弱させるSNPがmono-allelicな分布を示したことから、ヒト集団の形成過程でRhitH遺伝子は活性が保持されるように保存されたものと考えられた。4.年齢依存的に活性変動するDNase IとDNase 1L3について、その病態生理学的役割を解明する一環として、databaseに登録されている全functional SNPに関する遺伝子型―活性相関を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由から、「おおむね順調に進展している」と判断した。 ①当初計画していた、Rhit遺伝子改変マウスが作成できた。 ②ヒト年齢依存的遺伝子発現抑制因子RhitHの生理的役割を解明する一助となる遺伝的基盤が確立できた。 ③年齢依存的変動を示すDNase familyについて、その病態遺伝学的関与を解明する一助となる、全非同義置換型SNPの遺伝子型―活性相関を含め遺伝的基盤が確立できた。 ④本研究の遂行によって、関連研究を含めその成果を14報の査読ある欧文学術雑誌に公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
①本年度に作成したRhit遺伝子改変マウスを用い、遺伝子発現解析などによってRhitの標的遺伝子を明らかにすることとしている。 ②M-LPの生理的機能を解明するため、アポトーシスへの関与や相互作用分子の同定など細胞生物学的解析を行うこととしている。 ③外見推定として、身長関連遺伝子に着目し研究を進めている。これまで3種類の遺伝子について研究成果を公表したが、白人種などでさらに多数の身長関連遺伝子が同定されている。そこで、それらの日本人集団における関与を明らかにするため、日本人集団を対象として、遺伝子型―身長相関の解析を継続することとしている。 ④年齢推定マーカーとなる新規な年齢依存性生体分子や遺伝子を同定するためには異なる年齢層の試料が不可欠であり、前年度に続き連携研究者に採取を依頼し、収集を進める。
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