2011 Fiscal Year Annual Research Report
臨床的応用に視点を置いたリンパ行性微小癌転移機構解明の体系的研究
Project/Area Number |
22249052
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大橋 俊夫 信州大学, 医学部, 教授 (80020832)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 佳子 信州大学, 医学部, 准教授 (10362112)
安嶋 久美子 信州大学, 医学部, 助教 (70584051)
|
Keywords | リンパ系 / センチネルリンパ節 / リンパ管内皮細胞 / 癌転移 / 生体顕微鏡観察 / ATP / 超音波診断装置 / ICAM-1 |
Research Abstract |
私共のこれまで35年間におけるリンパ学の循環器病学、自然免疫学、腫瘍学に関連した研究成果を統合し、分子生物学、分子遺伝学、生理学、薬理学、組織学等の研究手法を多視点より活用し、従来の報告とは異なり、リンパ節のリンパ管内皮細胞を受け皿として、リンパ行性微小癌転移機構の形成に関与するセンチネルリンパ節の微小環境要因の変化を体系的に解明し、その基礎実験結果を踏まえて微小癌転移診断・治療法を新しく開発し、臨床応用を目指すために本年度は下記の研究を行った。 [1]循環器学的視点よりみた研究 リンパ液の流れにより細胞接着分子の発現が変化するか否かにつき、ヒトリンパ管内皮細胞を用いてshear stress刺激実験を行った。その結果、流れ刺激によりICAM-1の発現が亢進することが確認できた。 また、リンパ流の動態を解析するために、ラット等を用いて超音波造影剤ソナゾイドを粘膜下に注入し、リンパ液およびリンパ節内の可視化に対する基礎研究を行った。 [2]免疫学的視点よりみた研究 リンパ節内のリンパ管潅流標本をin-situ標本として作製し、生体顕微鏡下でこの標本を用いてPDGF-BBがリンパ管の自発運動に対する影響を解析した。また、SIPがリンパ管の自発運動にどのように関与するかに関して解析を行った。 [3]腫瘍学的視点から見た研究計画 腫瘍細胞株の培養上清や腫瘍から分泌される様々なサイトカインやATP等でヒトリンパ管内皮細胞を刺激し、特異的に発現する接着分子を同定し、超音波解析装置での可視化に応用するための基礎研究を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
循環器学視点および腫瘍学視点からみた研究は、流れ刺激によるリンパ管内皮細胞と癌細胞の接着能亢進が確認できたこと等、当初の計画以上に進展していると考えられるが、免疫学視点からのマクロファージや樹状細胞との関連はやや遅れているため、総合的に判断しておおむね順調と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
In vivo、in situ、in vitro等、様々な手法を用いて多角的にリンパ管およびリンパ系の研究を進めていくことが今後の研究の推進方策である。また、リンパ流が及ぼす自然免疫能への影響については、基礎実験は終了しているが今後、最先端の免疫学者と連携してリンパ節からのリンパ球の動員と流れ刺激の関連性についても研究計画を立案していく必要があると考えられる。
|
Research Products
(17 results)