2011 Fiscal Year Annual Research Report
連続流ポンプを用いた体内埋込式完全人工心臓の総合的基礎研究
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22249053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 裕輔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90193010)
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Keywords | 連続流ポンプ / 完全人工心臓 / 補助人工心臓 / 螺旋流ポンプ / 螺旋流完全人工心臓 / 波動型完全人工心臓 |
Research Abstract |
完全人工心臓は、心臓を置換するタイプの人工心臓であり、究極の心臓代替デバイスとして大きな期待がよせられている。小型高性能な体内埋込式完全人工心臓を開発するためには、デバイス、病態生理および制御系に関する基礎研究が必要である。また、生体適合性の向上も重要な課題であり、特に抗血栓性に関しては、抗凝固療法を必要としない要素技術の開発が必須である。今年度は、無拍動流完全人工心臓の病態生理の解明のために、無拍動流と拍動流の運動負荷実験を1頭のヤギで実験できるような高性能な波動型完全人工心臓を新設計して、パーツの設計と開発を行った。新しい連続流ポンプとして、螺旋流ポンプを研究開発しているが、昨年度開発した左心用の螺旋流ポンプを、左心バイパスのかたちでヤギに埋め込み抗凝固療法無しで実験をした結果、最長203日の生存が得られた。203日後に取り出したポンプ内に血栓は見られなかった。また、今年度は右心用の螺旋流ポンプが開発出来たため、完全人工心臓(螺旋流完全人工心臓)が完成した。完成した螺旋流完全人工心臓をヤギに埋め込んだところ、1週間の生存が得られた。螺旋流完全人工心臓は、ポンプのインフロー部分に絶対圧センサーを内蔵する設計とした。今年度は螺旋流完全人工心臓専用の絶対圧センサーユニットを開発した。生体適合性の向上を実現するために、人工材料と生体組織とをハイブリッド化させたハイブリッドパーツの開発を行っているが、補助人工心臓の心尖部コンジットをハイブリッドパーツで構成したハイブリッドカニューレを作製し、これを用いて左心バイパスの実験を行ったところ、ハイブリッドカニューレは心筋組織と融合し、脱細胞した細胞外マトリックス部分にレシピエント由来の細胞が生着していることが確認された。ハイブリッドパーツは人工臓器用の新しい生体適合性材料として期待しており、さらに研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
螺旋流完全人工心臓に関しては、平成23年度はデバイスの設計開発に終始すると思われたが、動物実験に使用しうるまでにデバイスの完成度が向上したため、既に2頭の動物実験を行うまでに至っている。また、ハイブリッドパーツに関しても、平成23年度は生体内インサート方式での作製方法の開発で終始すると思われたが、既に完成したパーツを用いて1頭の動物実験を行うまでに至っている。これらは当初の計画以上に進展している。波動型完全人工心臓の高性能化に関しては、動物実験がやや遅れている。平均すると、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画通り、デバイスの完成度の向上をめざしてさらなる研究と開発を進めるとともに、完成したデバイスにより長期慢性動物実験を遂行する予定である。また、現在、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は特にない。
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Research Products
(21 results)