2010 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質共役型受容体を標的としたくも膜下出血後脳血管攣縮に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
22249054
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 富男 九州大学, 医学研究院, 教授 (10134561)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 昌弘 九州大学, 大学病院, 講師 (50380621)
吉本 幸司 九州大学, 大学病院, 講師 (70444784)
中溝 玲 九州大学, 大学病院, 講師 (80529800)
吉川 雄一郎 九州大学, 医学研究院, 助教 (80423515)
|
Keywords | 脳血管攣縮 / くも膜下出血 / G蛋白質共役型受容体 |
Research Abstract |
(1)くも膜下出血(SAH)後、受容体の不活性化障害がトロンビン受容体以外の受容体にも波及するか否かに関する検討を行った。以下の実験は全て、ウサギSAHモデル(自家血2回注入モデル)および対照モデル(生食2回注入モデル)を作成し比較検討を行った。ウサギ脳底動脈リング条片を用いて、エンドセリン1、TXA2、セロトニン、フエニレフリンなどのアゴニストによる長時間刺激を行ったところ、対照モデルで一過性であった収縮反応が、SAHモデルでは持続性収縮に変化した。このことから、SAH後、受容体の不活性化障害がトロンビン受容体以外のG蛋白質共役型受容体にも波及している可能性が強く示唆された。 (2)SAH後、三量体G蛋白質の活性化が持続するか否かに関する検討を行った。SAH後のアゴニスト持続収縮におけるGq/11活性の関与を、エンドセリン、フェニレフリン、トロンビンを用いてアゴニスト刺激を行い、収縮持続相に対するGq特異的阻害剤の抑制効果を調べることにより評価した。いずれのアゴニストによる持続収縮も、Gq阻害剤(YM254890)50~100nmol/Lにて完全に抑制され消失した。このことから、SAH後のアゴニストによる持続収縮には三量体G蛋白質の持続活性化が関与することが分かった。 (3)SAH後の血管収縮性増大におけるカルシウム感受性の役割を検討した。まず張力-細胞質カルシウム濃度同時測定を行い、エンドセリン、フェニレフリン、トロンビン刺激における張力-カルシウム関係を比較検討した。エンドセリン収縮では他のアゴニスト収縮と比べ有意に張力/Ca^<2+>が高く、収縮反応におけるカルシウム感受性の寄与が大きいことが明らかになった。よってエンドセリン収縮におけるカルシウム感受性の役割を検討した。α毒素脱膜化標本を用い、エンドセリン刺激を行ったところ、SAHモデルでは対照モデルと比べ有意に収縮反応性が亢進しており、SAHウサギ脳血管においては収縮装置のカルシウム感受性が増大していることが明らかになった。
|