2011 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質共役型受容体を標的としたくも膜下出血後脳血管攣縮に対する新規治療法の開発
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22249054
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 富男 九州大学, 医学研究院, 教授 (10134561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 昌弘 九州大学, 大学病院, 講師 (50380621)
吉本 幸司 九州大学, 大学病院, 講師 (70444784)
中溝 玲 九州大学, 医学研究院, 講師 (80529800)
吉川 雄一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (80423515)
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Keywords | くも膜下出血 / G蛋白質共役型受容体 / Rho-kinase / Protein kinase C / カルシウム感受性 |
Research Abstract |
(1)くも膜下出血(SAH)後、受容体の発現亢進がトロンビン受容体以外のG蛋白質共役型受容体(GPCR)に生ずるか否かを、エンドセリン受容体、α1アドレナリン受容体の発現解析により検討した。以下の実験は全て、ウサギSAHモデル(自家血2回注入モデル)および対照モデル(生食2回注入モデル)を作成し比較検討を行った。SAH発症前、発症3日目、5日目、7日目におけるエンドセリンA型受容体(ETA)、エンドセリンB型受容体(ETB)の発現を、リアルタイムPCR法およびウェスタンブロット法により定量評価した。ETA受容体のmRNA発現は、発症5日目、7日目に、蛋白質発現は発症7日目に有意に亢進した。ETB受容体の発現はmRNA、蛋白質ともに有意な変化を来さなかった。エンドセリン受容体はSAH後、アイソフォーム特異的にその発現が亢進することが明らかとなった。また、α1アドレナリン受容体の蛋白質発現は、発症7日目に有意に亢進した。以上の結果から、SAH後、受容体の発現亢進はトロンビン受容体以外のGPCRにも波及している可能性が強く示唆された。 (2)SAH後のカルシウム感受性増大メカニズムを明らかにするために、主要なカルシウム感受性調節分子である、Rho-kinase(ROCK)およびPKCを介したMyosin light chain phosphatase (MLCP)の抑制メカニズムの関与を検討した。αトキシンにより脱膜化した脳底動脈リング条片を用いて細胞内カルシウム濃度固定下にエンドセリン刺激を行い、エンドセリン1によるカルシウム感受性増大に対する、ROCK阻害薬(Y27632およびH1152)、PKC阻害薬(Go6976およびGF109203X)の抑制効果を検討した。SAHモデルではいずれの阻害薬においても、対照モデルで濃度依存性に認められた収縮抑制効果が有意に減弱した。ROCK(ROCK1, ROCK2 isoform)、PKC(PKCα、β、δ、γ、ε、θ、ζ)の発現をウェスタンブロットにより定量したところ、ROCK2およびPCKαがSAH後に有意に発現亢進することが明らかとなった。このことから、SAH後、ROCKおよびPKCの発現、活性亢進によりカルシウム感受性が増大している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の当初の研究予定内容を一通り終了しており、研究はおおむね順調に進展していると考える。 1)SAH後のGPCRの発現変化に関する検討、2)カルシウム感受性調節におけるROCK、PKCの関与に関する検討
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り研究は遂行されており、現時点で研究計画の変更の必要性や、研究遂行上の問題点はない。
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Research Products
(14 results)