2010 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症病態に合併する蛋白異化病態の分子生化学的解明と遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
22249059
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 直之 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50332466)
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Keywords | 敗血症 / オートファジー / ATG / 遺伝子治療 / nuclear factor-κB / 細胞死 / FADD / siRNA |
Research Abstract |
本研究は,敗血症モデルマウスの主要臓器を用いて,オートファジー誘導蛋白およびアミノ酸トランスポータの蛋白発現を,敗血症進行の時系列で明らかとすることを目的とした研究である。さらに,敗血症病態におけるオートファジー進行に関与する転写因子群や関連情報伝達タンパクの影響を,デコイ核酸やsiRNAを導入した系で評価することを目的とした。 盲腸結紮穿孔による敗血症マウスにおいて,イソフルラン麻酔下で摘出した肺,心筋,および大動脈から抽出したタンパクのウエスタンブロット解析では,ATG (autophagy-related gene)タンパク群の中でも特にATG8 (LC3)が増加し,さらにATG8が活性化することを確認した。転写因子解析として評価したNF-κB活性は,敗血症作成10時間から15時間で2相性のピークを示したが,敗血症作成10時間後に導入したデコイ核酸によるNF-κB活性の抑制により,ATG8の増加が肺と大動脈で抑制された。さらに,オートファジーシグナルタンパクとして知られているFas associated death domain protein (FADD)のsiRNAにより,FADDの発現量を低下させると,敗血症マウスの肺と大動脈でATG8の活性化が抑制された。以上の研究内容は2011年1月15日~19日までの米国集中治療医学会で発表した。 本年度の研究は,敗血症モデルマウスで,オートファジー関連タンパクの中でも,ATG8が転写因子NF-κBの活性化と,関連タンパクFADDにより増加することを確認した。以上を踏まえて,次年度は,他のATGタンパク群を同様に解析する予定である。
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