2011 Fiscal Year Annual Research Report
Runx2遺伝子の転写制御機構と骨格形成プログラム
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22249062
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小守 壽文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00252677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増山 律子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60297596)
林 日出喜 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10218589)
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Keywords | Runx2 / FGF / Wnt / Tcf7 / 骨格形成 / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / 転写因子 |
Research Abstract |
Runx2をPrx1プロモーターを用いて、四肢および頭蓋の未分化間葉系細胞に、胎生9.5日より発現させた。Runx2の発現は、早期より骨芽細胞分化を誘導し、膜性骨化により骨形成を導いた。また、四肢の骨格形成の異常を起こし、本来骨形成の起こらない部位でも骨芽細胞分化を誘導し膜性骨化により異所性の骨形成を起こした。さらにRunx2の発現は、間葉系細胞から軟骨細胞への分化を抑制した。したがって、胎生期で間葉系細胞から骨芽細胞分化を誘導し、膜性骨化により骨形成を誘導するには、Runx2のみで十分であること、早期の軟骨細胞分化をRunx2が抑制すること、時間、空間的Runx2の発現レベルの調節が骨格形成に必須であることが明らかとなった。次にRunx2のターゲット分子を探索した。Tcf7は、Runx2によって発現誘導され、発現パターンもRunx2と一致した。Runx2はTcf7遺伝子のプロモーターを活性化し、直接転写調節していると考えられた。ドミナントネガティブ型のTcf7トランスジェニックマウスを作製したが、このマウスでは、軟骨細胞の成熟および増殖が抑制されており、Runx2は、少なくとも一部はTcf7を介して軟骨細胞の成熟および増殖を調節していると考えられた。さらにRunx2はSp7を発現調節することを明らかにした。Sp7を骨芽細胞特異的に発現するトランスジェニックマウスを作製したが、骨芽細胞の成熟が抑制され、未熟な骨芽細胞が増加した。これにより、繊維骨が形成された。Runx2とSp7を同時に骨芽細胞特異的に発現するトランスジェニックマウスでは、骨芽細胞の成熟抑制がより著明に出現した。しかし、Runx2とSp7は、それぞれ独立して骨芽細胞の成熟を抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Runx2遺伝子の時間的、空間的転写調節機構がトランスジェニックマウスの作製等によりほぼ明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
生化学的手法を用いて、Runx2遺伝子の時間的、空間的転写調節に関わる分子の相互作用を明らかにしていくとともに、転写調節領域のノックアウトマウスの作製により、生理的な意義を追求していく。
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