2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯高地環境における家畜化・牧畜成立過程に関する学際的研究-アンデスを中心に
Project/Area Number |
22251013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
稲村 哲也 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (00203208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 純夫 金沢大学, 文学部, 教授 (90238527)
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (00177750)
大山 修一 京都大学, 大学院・アジアアフリカ地域研究研究科, 准教授 (00322347)
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Keywords | ペルー / アンデス / 牧畜 / アルパカ / リャマ / ビクーニャ / ラクダ科動物 / DNA |
Research Abstract |
研究代表者の稲村は連携研究者の苅谷、鶴見と共に、8月にペルー、アレキーパ県ブイカ行政区の高原部牧畜地域(標高4500m)で調査を行った。稲村は長年のフィールド経験を踏まえ、リャマ・アルパカ牧畜の特徴を精査すると共に、近年、高原部への自動車道路開通、それに伴う開発、学校整備と教育の浸透、インフォーマルな金鉱開発、ペルー全体の経済成長と鉱山労働出稼ぎ増加などが、牧畜社会に与える影響などを検討した。苅谷は、アンデスに顕著な地すべり・崩壊を中心に、地形・地質を記載し、集落や農地・牧畜地の立地との関係を検討した。鶴見は、これまで重ねてきたアンデス文明形成期(紀元前3000~0年)の神殿遺跡の考古学調査を基に、神殿立地が古代のルートに関係するとの仮説にたち、ペルー北部を踏査して検証を進めた。またルート上を動くリャマのキャラバンの役割解明を課題とし、プイカの牧民社会の視察と、その周辺地域の遺跡の観察と情報収集につとめた。 研究分担者の大山は2月から3月にかけて、ペルー、アヤクチョ県のパンパ・ガレーラス自然保護区(標高4000m)において、ラクダ科動物ビクーニャの生態調査をおこなった。今回は、とくに若オス群に注目し、若オスの順位、家族群のメスへの接近を試みるオス、および若オスの競争関係を中心に調査を実施した。 研究分担者の川本は、遺跡から出土するラクダ科動物の骨に含まれるDNAを抽出し、種を同定するための分析条件を検討した。EDTAによる脱灰処理のあと、PCRでミトコンドリアDNAの非コード領域を増幅するのに至適な温度、酵素、反応液組成をテストした。これまでのところ、約1000年前の骨試料については良好な条件が特定されるに至っていない。 研究分担者の藤井は、3月にシリアのフランス考古学研究所で、追い込み猟に関する文献調査を実施した。その結果、民族資料を含めて多数の事例を確認することができた。
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