2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22253002
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉井 譲 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00158388)
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Keywords | 赤外線 / 銀河 / 星間物質 |
Research Abstract |
本研究は水素輝線Paα(1.87μm)およびPaβ(1.28μm)を用いて、我々の天の川銀河および系外銀河の星形成領域の観測を行い、宇宙におけるガス循環の詳細を明らかにすることで銀河の起源と進化に迫るものである。世界最高高度に設置した口径1mの赤外線望遠鏡(miniTAOを用いることによってこれまで地球大気に阻まれて観測が難しかったPaα輝線も観測が可能となり、質的に新しいデータが取得できる。研究初年度である本年度は望遠鏡遠隔制御システムの整備を行った。これは観測の人的・経済的負担を軽減し、また観測時間・効率を向上させるために必須のものである。現地への通信機器インストールや通信試験の結果、山頂望遠鏡群と山麓を数Mbpsの無線ランシステムで結ぶことに成功した。これは遠隔制御には十分な速度である。併せて天候急変や停電などのトラブルに対応するための機器整備も進めた。これらにより山麓からの観測制御の準備をおおよそ完了することができた。初めての遠隔制御のテスト観測は2011年5月に予定されている。これら整備と並行しながら初期の科学観測も推進し、天の川銀河中心領域および系外銀河26天体についてデータを取得した。得られた成果は日本天文学会2011年春季年会で発表した。解析手法についても検討を進め、データ制約のためのツールの整備も行った。本年度の研究によって星形成領域の系統的な観測を行う土台は完成したので、来年度以降効率的な観測研究が進められるものと考えている。
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