2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22253002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉井 譲 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00158388)
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Keywords | 赤外線 / 銀河 / 星間物質 / 星形成 |
Research Abstract |
本研究は水素輝線Paα(1.87μm)およびPaβ(1.28μm)を用いて、我々の天の川銀河および系外銀河の星形成領域の観測を行い、宇宙におけるガス循環の詳細を明らかにすることで銀河の起源と進化に迫るものである。世界最高高度に設置した口径1mの赤外線望遠鏡(miniTAO)を用いることによってこれまで地球大気に阻まれて観測が難しかったPaα輝線の観測を可能とし、質的に新しいデータが取得できる。本年度は、前年度に整備した無線ランシステムを用い、山麓からの遠隔観測の実用化を行った。結果、一晩あたりの観測時間を7時間から11時間以上に飛躍的に増大させることに成功した。観測としては我々の天の川銀河面のサーベイではGLIMPSE領域から重点的に観測を進めており、また系外銀河では38個の高光度赤外線銀河の星形成領域の観測を終えている。これはPaα/β輝線のような埋もれた星形成活動を調べた観測研究の中でも既に最大級の捜天観測であり、星形成活動の詳細を知る上で重要なデータベースとなっている。このデータの解釈も進んでおり、系外銀河における大規模な星形成活動には2つのモードがあることが明らかとなってきた。得られた成果は日本天文学会(2011年度内に5本)に加え、国際研究会でも発表されている。また修士論文の形でもまとめられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測研究のベースとなる遠隔制御および観測・解析システムは研究初年度に完成しており、現在は捜査観測を順次遂行している段階にある。2011年度春の異常気象で観測夜が大幅に削られてしまったが、観測領域を既存データベースと比較し効率化することで遅れを取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行なってきた天の川銀河面サーベイの結果より、無バイアスサーベイを行うよりも中間赤外線によるGLIMPSEサーベイで同定された赤外線源周囲をみることで効率的なHII領域の同定が行えることが明らかになってきた。そこで、今後の観測はGLIMPSE領域周囲を重点的に観測して銀河面のダストに隠されたHII領域を同定する。また、これまでに得られた高光度赤外線銀河のPaα撮像データから、系外銀河の星形成活動には2つのモードがあることが明らかになってきている。今後は観測領域や観測天体を増やすとともに、Paβ輝線による観測を積極的に進めて輝線比よりダスト吸収の補正を行って、この2つのモードの存在をより確実にしてゆくとともに、その成因は何かを明らかにしていく予定である
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Research Products
(7 results)