2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナカリ(ケニア)における後期中新世霊長類の発掘とその進化的意義に関する研究
Project/Area Number |
22255006
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中務 眞人 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00227828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國松 豊 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80243111)
萩原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324605)
酒井 哲弥 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (90303809)
仲谷 英夫 鹿児島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20180424)
實吉 玄貴 株式会社林原生物化学研究所類人猿研究センター, 系統進化研究部, 研究員 (50522140)
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Keywords | 中新世 / ヒト上科 / 東アフリカ / オナガザル科 / 化石 / 進化 / 古環境 |
Research Abstract |
本研究は、後期中新世ナカリ層(ケニア、980-990万年前)の発掘を行い、霊長類を中心に、化石動物種の系統解析・生態復元、古環境復元を行うことを目的とする。この年代は人類と現生アフリカ類人猿の系統分岐が始まった時代だが、この年代の化石産地はアフリカに乏しく、ナカリの豊富な霊長類相はこの時代の霊長類進化を明らかにする無二の鍵と言える。2010年度は、夏に地質学、古植物学の現地調査を、冬に古人類学の現地調査を行った。 地質調査は、酒井、實吉が担当し、化石サイトの層序学的な関連を明らかにすると共に、調査範囲をより周囲へ拡大して地質のマッピングを行った。古植物学は、ボニー・ジャコブス(研究協力者)が中心に、植物化石を収集し、現在同定中である。古人類学調査は中務、國松が担当し、NA60サイトで行ってきた発掘を継続した。発掘の結果、オナガザル科の部分骨格を含む600点以上の化石資料を収集した。 ケニア国立博物館における資料調査では、仲谷と小野寺麻由(研究協力者)が、霊長類以外の哺乳類の同定を行った。広範囲を移動することのない齧歯類は古環境の良い指標となるが、3亜目4科を同定し、歯牙形態から食性分析を行っている。荻原は2009年度に発掘されたマイクロコロブス属の頭蓋骨CT像から、変形を取り除いて復元する方法を開発中である。ケビン・ウノ(研究協力者)は、中大型ほ乳類(ウシ科、イノシシ科、カバ科、サイ科、ゾウ科、キリン科)の歯の炭素安定同位体分析を行い、ナカリと他の後期中新世ケニアサイト(サンブル丘陵、ロサガム)との比較を行い、東アフリカではナカリの時代以降、C3環境からC4環境への移行が始まり、そのテンポが分類群ごとに異なることを明らかにした。これらの成果は、10件の学会報告、2件の論文として発表された。
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Research Products
(13 results)