2011 Fiscal Year Annual Research Report
ジャワ島中部ソロ川上中流域における地域資源適正利用による環境創造型農村空間の構築
Project/Area Number |
22255012
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
横山 繁樹 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (30425590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 諭 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 主任研究員 (60425535)
飯泉 佳子 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 主任研究員 (00414996)
小林 慎太郎 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 研究員 (10508550)
原田 一宏 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (00372087)
石田 章 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (50346376)
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Keywords | 環境調和型農林水産業 / 農業経済学 / 地理情報システム / 水循環 / 民俗学 / インドネシア |
Research Abstract |
1)プロジェクトで設置した水文・気象観測施設から、流域水・土砂流出モデルの現地適用に必要となるデータを収集した。 2)対象地域では山麓傾斜面からソロ川とその周辺の平地において広く水田が存在し、作付パターン・時期は多様でその分布も複雑である。多時期の衛星データを組み合わせる判別手法を開発し、水田と畑地が識別できる農業的土地利用判別データを作成した。 3)地域産業連関表の推計を行いウォノギリ県の産業構造を分析した。(1)所得の46%が耕種農業によって生み出されていること、(2)耕種農業は生産物の多くを域外へ移出しており、それを原資として工業製品等の移入が行われている、(3)農業およびサービス業が域内の所得を誘発する力が強いこと、を明らかにした。 4)食料作物から多年生作物への転換は農家の食料安全保障を脅かすと考えられるが、実際にはチョウジを持っている農家ほど食料摂取状態も良好であった。土地利用意思決定モデルを作成し、食料作物からチョウジへの移行期に現金流動性が低下し、高収益にも関わらずチョウジ栽培を躊躇する可能性を示した。 5)フェアトレード認証を受けたコーヒー栽培を行う北スマトラ州リントン地区の生産組合を調査し、外部からの新制度導入によるアグロフォレストリーへの付加価値効果を検証した。 6)インドネシア語との語彙比較でジャワ語は農業に関係する語彙が際だって多いこと、聞き取り調査で先祖からの伝承意識は生業や技能の面において希薄なことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水文・気象・土壌流出データ収集に関して、一部機器の破損などあるがほぼ順調に進んでいる。土地利用判別手法はその有効性がほぼ確認できた。水田+畑作村の村で社会経済調査を実施し、ミクロレベルの分析を進めるとともに、セミマクロ(県)レベルの経済構造分析も行った。事例分析で高付加価値アグロフォレストリの課題を摘出し、語彙調査など民俗学調査による地域文化資源の探索にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
水文・気象・土壌流出に関しては、データ収集を継続するとともにモデル構築に着手する。土地利用判別は、判別精度向上のために、利用データ拡張の検討、判別精度評価と解析スキームの構築等を行う。高付加価値アグロフォレストリーでは、アチェのフェアトレード・コーヒーの事例調査を行う。地域文化資源探索では、生業調査を継続し多面的機能維持管理への活用可能性を検討する。ミクロレベルの社会経済分析では、傾斜地でタバコ、野菜栽培を行う村を対象に世帯調査を実施する。地域産業連関分析は、追加的に収集したデータを活用して部門分類を詳細化し、コミュニティビジネスのインパクト評価や各農業部門の環境負荷と所得のトレードオフ分析を行う。作物選択意思決定モデルを、1年生(食用)作物と多年生作物の土地配分モデルに拡張する。
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