Research Abstract |
ビルや家屋などの建物内にスマート環境を構築するためには,空間内の環境情報のセンシング・収集のため,無線センサネットワーク(WSN:Wireless Sensor Network)の敷設が必須である.しかし,建物内は複雑な構造を持つ3D空間であり,監視が必要な領域を十分な精度でセンシングするWSNを敷設するのは,障害物による無線通信範囲・センシング範囲への影響,センサ設置位置・コストの制約を考慮すると,非常に難しい問題である.本研究では,要求性能を満たす屋内WSNを効率良く設計するため,障害物のある3D空間への最適なセンサノード設置位置決定推定機能を持つ屋内WSNシミュレータを開発する. 平成23年度は,(1)3D-WSN被覆問題の定義とアルゴリズム(準最適なセンサ設置位置決定機能)の設計,(2)アルゴリズムおよび専用GUIの実装を行った.(1)に関して,平成22年度に開発したセンシング範囲のモデルに基づき,障害物のある3D-WSN被覆問題(監視対象領域を,設置するセンサ群のセンシング範囲で被覆し,かつ,任意の2センサノード間で無線通信が可能であるセンサノード群の設置位置決定問題)を定義した.定義した問題は典型的な組合せ最適化問題であり,NP困難なため,実用的な時間で最適解を算出するのは困難である.そのため,本問題に対する準最適解を計算するヒューリスティックアルゴリズムを考案した.また,障害物として静止物以外に,人などの移動する障害物の影響も考慮した3D-WSN被覆問題を定義し,アルゴリズムを考案した.(2)に関して,考案したアルゴリズムを実装し既存のシミュレータであるUbiREALに組み込んだ.UbiREALにより構築した3D仮想空間に監視対象領域(センサにより被覆されるべき領域)およびセンサを設置可能な場所の範囲を直観的かつ容易に設定できるようにするため,専用GUIを設計・実装した.また,本アルゴリズムの計算結果をもとに,UbiREAL上でアプリケーションを実行できるようにするため,算出したセンサノードの位置に基づいて,センサノード群を仮想空間に自動的に設置する機能を設計・実装した.以上の方法で開発した屋内WSNシミュレータを使って,実在の空間・障害物を設定し,計算時間やセンサ設置位置の有効性に関する評価を行った. 本年度の成果は.国際会議IEEE WoWMoM2012で発表予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請に記述した目的である,(1)3D-WSN被覆問題の定義とアルゴリズム(準最適なセンサ設置位置決定機能)の設計,(2)アルゴリズムおよび専用GUIの実装を,平成23年度内に達成できたため.
|