Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 友孝 関西大学, システム理工学部, 専任講師 (20314560)
六浦 光一 信州大学, 経済学部, 教授 (00106147)
大月 一弘 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10185324)
榎原 博之 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50194014)
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Research Abstract |
本研究は,火災・爆発や無差別殺傷テロなど都市域において突発的でパニックを誘引する災害発生直後に,発生現場から被災者の緊急避難を支援するという,応災型情報通信システムの開発を目的とする.一般に突発性重大災害発生時には,高々数分以内に災害現場から緊急避難できるかどうかが生死を分ける,と言われている.本研究では,災害現場の被災者の時々刻々の動きから,リアルタイムに災害発生位置や災害状況・種類の特定を試み,避難経路情報を瞬時(高々数10秒程度)に獲得し,被災者の救援や脱出経路誘導などを行うことを目的としている. このため本研究では,パニック型災害発生時の発生位置と災害種類の特定アルゴリズム開発が中心となる.昨年度はSVM(サポート・ベクター・マシン)を導入し,災害の発生を自動的に検出するアルゴリズムを作成し,アルゴリズムや通信機能を実装した非常時緊急通信端末のプロトタイプを4台試作した.本年度は,新たにバッファリングSVMを提案しシステム化を行った.さらに通信機能やより高度なセンサ機能などの周辺機能を強化した非常時緊急通信端末プロトタイプV.2を8台作成した.開発システムの有効性を検証するため,関西大学中央体育館内に都市域構造体モデルなどを構築し,被験者約250名(関西学生,近隣の小・中・高校生,関西大学OB)パニック型災害時避難実験を行なった.本年度は,昨年度不可能であった災害発生検知アルゴリズムのリアルタイム動作を実現し,緊急避難実験によって得た被験者の手段的な避難動作を9軸センサでデータ収集し,災害発生の自動検出を即時に可能とした.さらに災害の種類の特定として,火災による避難と,単独/複数テロ犯人による避難との差異を85%の精度で即時に認識可能とし,大きな進展を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心課題は,都市域パニック型災害発生に対する緊急避難者を災害発生直後からリアルタイムに支援する緊急救命避難支援システムの開発である。本年度はその核となるアルゴリズムとしてバッファリングSVMを新たに提案し,大規模な災害避難実験により本アルゴリズムがリアルタイムで災害発生そのものの検知と、災害が火災かテロかという2種類の判定をリアルタイムで可能とすることを実証した.これは本システムの実現する上での最大の課題に対して、そのソリュージョンを創生・実証した点で大きな進展を得たと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度(23年度)において,本研究目的の役80%が解決されたため,システムの実現性を含めて,大きく力強い進展があったといえる.本年度は、さらに提案アルゴリズムであるバッファリングSVMの改良を行い,その判定速度と判定精度を向上させるとともに,判定可能な災害の種類を地震や爆発などのより多様なものに対応できるように,システム開発や災害実験方法などを改良発展させ、当初研究計画以上の120%程度の目的達成を目標として、鋭意研究を進めていく所存である。
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