2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300058
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 淳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20303688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 文彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00432287)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 画像認識 / 高度道路交通システム / 知能ロボティックス |
Research Abstract |
平成24年度は、異種センサ間の関係を記述する複合次元多視点幾何において、センサ間の相対位置、姿勢、運動などの情報を保持する多焦点テンソルを安定に計算する方法を開発した。複合多視点幾何拘束は高次元空間において定義するため、多焦点テンソルの自由度は高く、単純な計算方法ではセンサ計測ノイズの影響を大きく受けて計算が不安定化する。そこで、複数の車両間の相対運動に関する制約と多視点幾何の自由度の関係を調査した。この結果、車両同士が同一方向に運動しているなど車両間の運動に制約を設けることで複合多視点幾何の自由度が減少し、この結果多焦点テンソルがより安定に計算可能であることが明らかになった。さらに、この結果をもとに車両間における異常運転を検出する手法を開発することに成功した。 また平成24年度は、一方の車両からレーザを照射し、他方の車両のカメラでこのレーザ照射点を観測することで多焦点テンソルを計算し、求めた多焦点テンソルから車両同士の相対位置、姿勢、速度などを計測する技術を開発した。この技術により、交差点付近にいる2台の車両が、ビルなどで隠されて互いに見えない場合においても、照射されたレーザレーダ光により互いの相対位置を正確に知ることが可能となり、事故防止システムの新たな可能性が開けた。開発した手法をシミュレーション実験により定量評価した結果、レーザ照射点の観測時刻が少ない場合には相対位置の推定が不安定となるが、レーザ照射点の観測時刻が増すに連れて推定精度が向上することが明らかになった。 また平成24年度は、平成25年度の実車実験に備えて、スキャン型レーザレーダ装置を試作開発した。スキャン装置とレーザ計測装置の同期を取り、リアルタイムにスキャンデータを計測できるようにし、さらに照射したレーザ点をカメラ画像で観測できるようにして、異種センサ協調実験ができる体制を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、平成22年度には複合次元多視点幾何の一般理論を構築することに成功し、様々な次元のセンサを組み合わせる一般理論を完成させることができた。平成23年度には計算に必要となる最小対応点数や計算安定性などの複合次元多視点幾何の様々な性質を明らかにすることができ、様々な異種センサ協調を行うための設計指針を得ることができた。また平成24年度には、複合次元多視点幾何の中核をなす多焦点テンソルを安定に計算する方法を開発することができ、その効果を確認することができた。また、平成23年度から24年度にかけて複合次元多視点幾何理論を応用した異種センサ協調に関する研究を進めた結果、一方の車両からレーザレーダを照射し、他方の車両のカメラで照射されたレーザ点を観測することで、互いの車両間の相対位置や姿勢を計測する技術を開発することができた。これらの技術に関して、シミュレーション実験による定量評価と実センサシステムによる評価実験を行い、異種センサ間での協調計測が可能であることを確認することができた。さらに、平成24年度には、スキャン型レーザレーダを試作し、カメラと組み合わせることで、実車を用いて異種センサ協調実験を行う体制を整えることができた。 また、これらの成果は、学術論文3篇、国際会議論文10篇、国内会議論文10篇、招待講演1件として発表しており、広くその成果を社会に還元している。 以上より、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに開発した車両間異種センサ情報協調技術を、実験車両2台を用いて実車実験し、その有効性を確認する。この実車実験では、センサ協調によって得られた情報の有用性、車両間の相対位置、姿勢、速度の計測精度、などを評価する。また、射出するレーザの射出パターンの違いやレーザが投影される道路や建物の形状の違いによって計測精度が変化することが考えられることから、様々なレーザ射出パターンや様々な道路形状における計測精度の評価を実施する。 これらの評価は、研究代表者、研究分担者、研究協力者の3者が協力して実施する。このため研究代表者、研究分担者に加えて大学院学生を研究協力者とし参画させ、実車実験システムの準備、実車評価のためのプログラム作成、評価実験等を協力して実施する。また、実車評価に当たっては、実車実験に関して豊富な経験を持つ企業開発技術者よりコメントを得ながら、実応用に則した評価となるよう配慮する。 本研究は平成25年度が最終年度であるため、研究代表者は本研究全体を通して得られた技術や知見や課題を整理し、本研究領域の今後の展開の方向性を明らかにする。 また、本研究によって得られた成果を学会等で発表し広く一般に周知するとともに、チュートリアル講演等で本技術に関する講演・解説を行うことで、本研究によって得られた技術や知見の社会への普及を図る。
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Research Products
(10 results)