2011 Fiscal Year Annual Research Report
監視カメラ映像を警察捜査と裁判証拠に活かしきる画像処理の研究
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22300065
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山内 寛紀 立命館大学, 理工学部, 教授 (10288623)
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Keywords | 防犯カメラ / 劣化画像改善 / ナンバープレート認識 / 画像鮮明化 / 移動体検出 / 物体自動分類 |
Research Abstract |
昨年度の成果を発展させ、劣化映像からの車のナンバープレート認識、移動体検出物体自動分類、画像鮮明化に関する研究を進め、以下の成果を得た。 1.劣化ナンバープレート数字の認識:昨年の研究を基本にして読み取り精度を向上させた。改善の第一は、ボヤケとブレに対する劣化推定機能を付与したことであり、人工的な劣化付与画像のデータベースを構築し、確率密度による推定を行った。第二は、数字の切り出しに、輝度密度関数から推定する手法を導入した。この結果、数字幅2.0画素という極小数字の場合において、人間の判別精度が32%に対して、これをはるかに上回る認識精度の90%を実現した。以上の成果を国際会議(2件、査読有)にて発表した。 2.移動体検出と物体自動分類:防犯カメラ映像から特定のシーンを自動検出することで、鑑定の敏速化を図ることを目的に進めた。まず、照明変動と背景変動に強い移動体検出手法を研究し、着目画素から8方向に伸ばした線上で混合ガウス分布を行う手法(MRPF:Multi Radial Proportion Filter)を提案して検出精度を大幅に向上させ、この成果を国際会議(2件、査読有)で発表した。次に、Bag of Key_ponints手法にPCAによるデータパッキングを導入して一般物体認識精度を向上させた。また、LGDPHS手法を提案して年齢と性別の識別精度を向上させ、これらの成果を国際会議(2件、査読有)で発表した。 3.画像鮮明化:霧と煙の画像の鮮明化での問題となっている疑似輪郭の改良に取り組み、2つの改良を行った。第一は、最大値と最小値を複数個(マルチスケーリング)としたこと。第二は、最大値と最小値を周辺テクスチャから補正することである。これにより、疑似輪郭を低減して、鮮明化画像の不自然性に対して大幅改良を得た。これを国内会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像の鮮明化になかで、暗闇、逆光、霧、輪郭不鮮明などについては、ほぼ満足できる結果を得ている。また、ボヤケやブレについても単独の劣化については、相応の結果が出ている。しかしながら、複合劣化の改善についてはなお多くの課題がある。また、微小ナンバープレートの数字を識別する研究においては、人間の識別能力を上回るレベルに達しておりほぼ順調に進んで来ている。さらに、本研究を進めていく上で、動画から所望のシーンを選別することが警察捜査において極めて重要であることが判明し、不審人物を検出することと、検出移動物体の識別・分類を行う研究を追加した。これについては、国際会議で発表する成果を挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
単独劣化についてはほぼ順調に成果を挙げているが、現実の画像においては、ボヤケとブレの複合、さらには、量子化ノイズとの複合劣化の画像を改善が必要であり、この場合、パラメータの自動最適化が極めて重要である。これについては、最終年度に挑戦する課題である。また、微小ナンバープレートの読み取りにおいては、現実の捜査画像で要求されるレベルが現段階をさらに超えているものが多い。この解決には、数字位置の高精度特定という極めて難しい課題の解決が重要であり、これについても最終年度に挑戦する。不審人物特定では、今年度の成果に、画像鮮明化の成果を融合させ、ロバスト性の高い現実的なシステムへ改善して仕上げていく。
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