2010 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚情報を用いた危険検知用人工の鼻センサシステムに関する研究
Project/Area Number |
22300066
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 孝明 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (20344187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 隆史 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (60356839)
廣野 順三 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (50357878)
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Keywords | 情報センシング / 匂い / 生体機能利用 / 細胞アレイ / 分子認識 / 感覚センサシステム |
Research Abstract |
匂いは、ヒトや動物の危険の察知や生活向上にも大きな影響を与えており、匂いに生物学的な意味付けが行われる嗅覚情報センシングが可能になれば、危険成分や犯人臭を検知する捜査ロボットや体臭の変化から疾病の発症を予告するホームロボット、食材選別や発酵プロセスなどの自動生産管理ロボットなど多様な嗅覚情報関連機器および計測・制御技術の開発が実現されると期待される。本課題では、1000種の嗅覚受容体から数種選び、培養細胞に機能発現させて細胞センサ化し、匂い要素情報自動強調処理により嗅覚情報を抽出する人工の鼻センサシステムを試作する。 また、嗅覚受容体を改変し、対象の危険物成分を検知するセンサ開発を目指す。本年度の概要は以下の通り。 1)培養細胞の人工の鼻センサ化 同一の嗅覚受容体を機能発現させたHEK293培養細胞を格子状に配置し培養するマイクロウエルを試作した。このマイクロウエルに、3種の嗅覚受容体を1種ずつ嗅覚同等の匂い分子特異性を持つ応答性を再現するためのキメラGタンパク質とシャペロン2種と遺伝子導入によりHEK293培養細胞に共発現させ、Caイメージングで匂い応答特性を調べた。その結果、一過性発現では培養皿で8割の細胞が応答する発現条件でも、マイクロウエルでは受容体発現が不十分になる場合が多いことが明らかとなった。解決方法を検討し、次年度試みる予定である。 2)受容体信号のfeedforward抑制系および要素情報形成への寄与の評価 ΔDマウス3匹を用いて追加実験を行い、10カ月で5種の匂いの識別を行わせデータを収集した。得られたデータは他の3匹で得られたデータと異なる傾向を示し、さらに3匹での追加実験が必要となり、2成分系の実験を継続中である。 3)マウス高感度受容体導入メダカ作成(メダカ嗅覚情報評価) 遺伝子組換え技術を用いてマウス高感度受容体導入メダカ作成をするために、導入遺伝子をデザインした。また、希望する応答性を有す受容体の設計法を検討するため、HEK293細胞において変異受容体の応答変化を確認した。抗体免疫染色により、受容体の機能発現に必要な膜移行が起きていることを確認する系を構築した。
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Research Products
(2 results)