2011 Fiscal Year Annual Research Report
医と食における安全・安心を目指す情報ユニバーサルデザインの創成
Project/Area Number |
22300072
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
日比野 治雄 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20222242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 慎一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40420913)
和田 有史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所, 主任研究員 (30366546)
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Keywords | デザイン心理学 / 実験心理学 / 認知心理学 / 技術心理学 / 安全・安心 / 情報ユニバーサルデザイン |
Research Abstract |
我が国では食品のトレーサビリティ表示や薬品のコンビニ等での販売開始に伴い、消費者が開示情報に基づく商品選択を行なうようになってきている。しかし、科学的情報を読み取る訓練を受けていない一般消費者は、正しい知識をもたないまま"専門的情報理解と適切な判断を行う責任"のみが課せられている。本課題ではこの状況を打開するために、心理学を利用した情報のバリアフリー化技術の基礎的知見を集積した。はじめに眼球運動計測および質問紙調査により、食品・医薬品の外箱デザインにおける消費者の注目度および情報理解度を検討するとともに、質問紙調査を通じて医と食の安心・安全に関する消費者行動の現状を調査した。具体的には、日米被験者間における医薬品外箱のリスク情報の注目の相違や、一般消費者と薬学部学生との相違などを検討し、注意情報が消費者にどのように認知されているか明らかにした。さらに、セルフメディケーションの実践において、大手製薬メーカーのブランドかプライベートブランドの使用はどのように認知され利用されているかも調査した。 食の安全に関する研究は、生産者情報が記載されている野菜は消費者にどのように安心感や安全感を与えているか、そしてその評価傾向は専門家や異なる消費者属性の間で相違を調査し、また植物油に記載されている「特保マーク」が消費者の安心感、安全感に与える影響も評価した。 更に、文字の読めない幼児によるアルコール誤認を防ぐための新しい「酒マーク」の考案と評価検討の研究を行った。この結果をもとに、消費者の注目度や視認性を考慮したevidence basedなパッケージデザインを開発し、そのデザイン指針も抽出し、消費者の視線を重要な情報に効率よく誘導するような外箱デザインを提案した。これらの研究結果は、医と食の安心・安全の創出やリスク予防という観点から見て非常に重要であり、様々な学会で研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究課題を順調に遂行し,研究成果を論文・学会等で報告できている。
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Strategy for Future Research Activity |
デザイン心理学に基づくパッケージデザインの検討や、多感覚知覚の知見を活用した印象伝達促進に関する実験心理学的エヴィデンスを提示し、最終的には情報バリアフリーという新たな研究フィールドの創成を目指すことで、消費者にとっての医と食の安心・安全が向上されることに貢献する。具体的には、現在進行中の研究課題を拡大し、異なる属性を持つ幅広い層の消費者を対象に実験を進め、医薬品の外箱情報、アルコール飲料の目印、食品の添付情報を専門的な知識を持たずとも正しく理解し安全に利用できるためのデザイン開発を進める。これらの研究により、医と食の安心・安全の創出と情報のバリアフリー化を推進する予定である。
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Research Products
(13 results)