2010 Fiscal Year Annual Research Report
小型嗅覚ディスプレイと流体シミュレータを用いた香るバーチャル空間
Project/Area Number |
22300073
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中本 高道 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20198261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 寛 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80293041)
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Keywords | 嗅覚ディスプレイ / 電気浸透流ポンプ / 弾性表面波 / 水晶振動子センサ / 質量分析器 / 要素臭 / 流体シミュレータ / 風感 |
Research Abstract |
本研究では超小型の電気浸透流ポンプを用いて液体を調合し、弾性表面波素子のacoustic streaming現象を利用して気化させて、人の鼻に送り届けるシステムを試作した。その結果、従来残香が問題であった低揮発性の香気成分でも高速に香りを提示して消し去ることができることを水晶振動子センサで計測することにより確かめた。また、2個の電気浸透流ポンプを用いて香りの調合ができることを確認した。さらに、センサの感応膜材料として自己組織化リポポリマで被覆した金ナノ粒子の外側に両親媒性高分子を物理吸着した感応膜を作成し、高感度で湿度依存性が少ない材料を開発した。 さらに匂いの要素臭の選択方法について検討した。質量分析器データを用いてNMF (Nonnegative Matrix Factorization)法により基底ベクトルを算出し、その基底ベクトルが得られるように要素臭の調合を行う。精油に関して実験を行い大学祭の時にオレンジ、ミント、ブラックペッパーの香りを調合して、これらの香りが認識できるかを官能検査により調べた。その結果、約9割の確率で正しく認識できることがわかった。 流体シミュレータに取り込むための流体場モデルの作成も行った。本年度はサーモグラフィを購入し、流体シミュレーションモデルに設定するための温度境界条件を測定する実験を行った。サーモグラフィとレーザスキャナを移動ロボットに搭載し、室内を一周して部屋の形状と壁面温度の分布データを測定した。また、同じ部屋で風速分布の測定を行い、収集した温度境界条件から予想される通りの気流場が形成されていることを確認した。収集したデータを用いて次年度は、温度境界条件や室内形状を流体シミュレータに自動設定することを試みる。 また、風感を導入するために匂いと気流をユーザに提示可能な装置を作製した。小型ファンを液晶モニタの左右に配置して向かい合わせ、風を衝突させてその向きを変えることにより、モニタから風や匂いが出てくるかのような感覚を与えられることがわかった。
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Research Products
(21 results)