2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300076
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00252320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北崎 充晃 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90292739)
南 哲人 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 特任准教授 (70415842)
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Keywords | 脳波 / 事象関連電位 / 顔色情報処理 / 不自然さ / 潜在的態度 / 感情誤帰属 / 感性情報処理 |
Research Abstract |
今年度は、感性情報のなかでも顔認知における色情報、および潜在的な感情情報について脳波からの抽出を試みた。これらは、これまで行われてきた研究より、個別的・深層的な潜在的感性情報へのアクセスに挑戦するものであり、より個人適応型のコミュニケーションへの貢献度は高いと考えられる。まずは、顔の色(色相)を変化させた場合の脳波を計測し,顔色の色相変化と事象関連電位、および不自然さに対する心理尺度値(行動実験)との関係を明らかにすることにより、顔色認知機能メカニズムの解明を目指した。その結果、左後側頭チャンネルの顔に関係する脳波成分N170の振幅では、色相角に主効果が認められ、顔色が通常の顔色から離れれば離れるほど、N170の振幅が変化するという活動パターンを示した。これらの結果から、顔色情報処理は左半球優位で処理されることが示された。さらに、顔色のような顕在的な情報処理だけでなく、潜在的な感性情報へのアクセスを目的として、感情の状態により対象への感情判断が誤って帰属される現象「感情誤帰属」(Payne et al., 2005)に関して、研究を行った。感情誤帰属では、直前に提示される刺激の持つ感情価、つまり好ましいか、好ましくないかにより、後に提示される刺激の感情評価に影響を与える事が知られている。その結果、潜在的な誤帰属のしやすさが、脳波のP2成分、つまり、事前に提示される感情情報への無意識の注意と関係していることを示した。このように、計測が比較的容易で応用可能性の高い脳波から、従来の言語や行動的指標のみではアクセスが難しい印象や嗜好さらには理解・共感などの個性に関わる感性情報を抽出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、脳波による、個性に関わる感性情報の抽出を進めることが出来ており、今年度からは予定通り、潜在的感性情報の抽出の段階に研究が進んできている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初実験計画通り、脳波からの印象や嗜好さらには理解・共感などの個性に関わる感性情報の抽出を進めていき、脳波判読情報を介したクローズド・ループ実験系の構築を目指す。
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