2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300080
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
家富 洋 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20168090)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 秀明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40202501)
相馬 亘 日本大学, 理工学部, 准教授 (50395117)
藤原 義久 兵庫県立大学, 大学院・シミュレーション学研究科, 教授 (50358892)
池田 裕一 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (90610858)
|
Keywords | ネットワーク / 複雑系科学 / 経済物理 / 情報統計力学 / 可視化 / コミュニティ / 有向 / 多重 |
Research Abstract |
今年度は本研究を次のように進めた: ●研究対象を一般化ネットワーク(重み付きリンク,ノード種の多重性,リンクの有向性)へ拡大し,必要な解析手法(可視化,コミュニティ抽出)の開発を行った. ●前年度導入した並列計算システムを利用することにより,我が国における企業間取引ネットワーク(約80万社,約300万取引)に対して,企業間取引の有向性を考慮した可視化とコミュニティ解析を行った. ●すでに整備済みの銀行・企業間貸借データベースから信用ネットワークを構築した.さらに融資金額をリンクの重みとして,コミュニティ抽出を行い,過去30年間のコミュニティ構造の時間的変遷を調べた。また,ノードの重複を許すコミュニティ抽出法の開発に着手した。 ●東京市場における株価相関行列(ランダム行列理論を使って統計ノイズを除去)から得られたネットワークについてコミュニティ抽出を行い,市場にフラストレーション構造が内在することを発見した. ●東日本大震災後の連鎖倒産を調べ,地震のショックが長期間にわたって生産ネットワークに影響を与える可能性(大地震後の余震に関する大森則と類似)を指摘した. ●景気循環を相互作用する振動子のネットワーク・モデルで理解することを開始し,鉱工業指数データの解析から得られた業種間の位相差を再現する相互作用パラメターの決定に成功した. ●研究成果を,論文・報文として報告するとともに,日本物理学会,京大基研研究会,統数研共同研究集会,WEHIA2011, Econophysics-Kolkata VIなどで発表した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目指した,リンクの向き,リンクの重み,ノードの多重性を考慮したネットワークの可視化手法ならびにコミュニティ抽出法の開発については,ほぼ目処がついた.また,本研究で導入した並列計算システムは順調に稼働中であるとともに,対象とする経済ネットワーク・データの整備は完了している.最終年度は,さらなる解析手法の高度化とそれらの具体的なネットワークへの応用を図る.
|
Strategy for Future Research Activity |
銀行・企業間信用ネットワークと並んで,株価相関ネットワークを本研究の中軸対象として積極的に研究を推進する.株価相関ネットワークは,負の重みをもったリンクを含み,可視化やコミュニティ抽出において新しい課題を提供する.また,銀行・企業間信用ネットワークの解析にあたっては,多数のリンクを集めるハブ・ノードが複数のコミュニティに対して重要な位置を占める可能性を考慮する必要がある.しかしながら,これまでのコミュニティ抽出においては,1つのノードが複数のコミュニティに所属することは許されていない.その問題に対しては,ノードの重複を許すコミュニティ抽出法を新たに開発することによって対処する.
|
Research Products
(44 results)