2010 Fiscal Year Annual Research Report
前頭葉からのトップダウン・コントロールに関わる脳内ネットワーク機能の解明
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22300093
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
熊田 孝恒 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (70221942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩木 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (70356525)
村垣 善浩 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70210028)
丸山 隆志 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40301543)
川俣 貴一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90204768)
田村 学 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80453174)
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Keywords | 脳 / 認知科学 / 前頭葉 / 脳ネットワーク / 認知機能 / 注意 / 遂行機能 |
Research Abstract |
先行研究に基づいて、視覚刺激のある側面に注意を切り替え、持続する過程を反映することが想定される認知課題を作成した。この課題は、画面上に表示される手がかりに基づいて注意する対象を決定し、その対象を画面中から探し出し、次の手がかりが提示されるまで、その注意対象を維持するとが必要な課題である。個々課題では、注意する側面を「選択する」、(2)注意する側面を「切り替える」、(3)その側面に注意を「持続する」の3つの過程を別々な課題成績として取り出すことができる。この課題を、健常者データならびに脳損傷患者に実施し、データを得た。健常者では、課題を持続している間に同じ課題を繰り返すと対象の探索時間が短くなること。つまり、対象を切り替えた直後に探索時間が遅延することが明らかになった。一方、患者群では、この課題切り替えにともなう探索時間の遅延が著しい患者や、課題の繰り返しに伴って正答率が顕著に低下する患者など、いくつかのパターンが見られた。そこで、このような患者の結果のパターンの特殊性が特定の脳部位の損傷と関連するか否かを明らかにするために、課題成績と損傷部位の関連を「ボクセルに基づく損傷部位-課題成績マッピング(VLSM:Voxel-based lesion symptom mapping)」によって解析を行った。分析に利用できる患者数が限られていたため、予備的な解析にとどまっているが、課題成績のパターンに有意に関連する損傷部位が見つかった。特に、課題の持続には右半球の前頭葉極と左半球の補足運動付近、課題の切り替えについては、左右半球の下前頭回が関与する可能性が示唆された。これらに関しては、次年度以降に患者数を増やすし、論文としてまとめる予定である。 また、患者の一部について皮質間の連絡線維の解析に着手した。とくに関心領域の連絡繊維の損傷度合いを定量的に解析する方法を検討中である。
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