2013 Fiscal Year Annual Research Report
前頭葉からのトップダウン・コントロールに関わる脳内ネットワーク機能の解明
Project/Area Number |
22300093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊田 孝恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70221942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 隆志 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40301543)
岩木 直 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (70356525)
田村 学 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80453174)
川俣 貴一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90204768)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 前頭葉 / 認知科学 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までに開発した実験課題と既存の認知課題の計(8課題)を同一の患者に、術前、後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月に実施し、課題間の相関解析と、脳損傷部位との関連を調べた。 まず、75名の前頭葉の脳腫瘍患者の術前の課題成績について階層的因子分析を行い、各個人の一般的知能の指数を計算した。また、一次因子として、 Miyake(2000)と同様のupdating, shifting, inhibitioinの3つの因子構造を見出すことができた。これらは、前頭葉のトップダウンコントロールを構成する主要なコンポーネントと考えられている。術前と術後の一般因子得点を比較すると、左右半球いずれの摘出患者ともに、術後(1ヶ月)に有意な知能の低下が認められた。6ヶ月後では、右半球の摘出患者では、ほぼ、術前と同じレベルに知能は回復したが、左半球摘出患者では、術前に比べて1ヶ月後の低下率を100%としたときに、6ヶ月後では、その40%程度しか回復していなかった。特に、島回を含む摘出患者において、回復の程度が低いことがわかった。 これらの結果から、島回を中心とする摘出によって、知能の一般因子に関連する機能が低下することが明らかとなった。また、3つの一次因子ごとに回復の程度を比較すると、shiftingの因子のみが、左半球の腫瘍摘出患者ではほとんど回復しないことがわかった。この結果は、複数の課題間での構えの切り替えに左前頭葉が関与するという、従来の脳機能イメージングの研究とも一致する。一方、updatingやinhitionの機能は、左右半球摘出患者ともに、6ヶ月までには術前と同程度に回復する。 本年度は、前頭葉におけるトップダウン機能をupdating, shifting, inhibitioinの3つのコンポーネントと、その集成として一般因子という観点から検討し、脳部位との対応を見出した。より詳細な部位との対応関係の解明、ならびに、患者の社会復帰などのQOLの観点からの評価が今後の課題として残った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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