2012 Fiscal Year Annual Research Report
統計的推論を支える効率的計算アルゴリズムに関する数理基盤
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22300098
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
福水 健次 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60311362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 利幸 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10254153)
池田 思朗 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30336101)
樺島 祥介 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (80260652)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | グラフ / アルゴリズム / 確率計算 / 情報幾何 / 位相幾何 |
Research Abstract |
本年度の研究は,特に無限次元情報幾何に関して特に進展があった.Hyvarinen(2005)が提案したスコアマッチングの方法を無限次元指数分布族に拡張することにより,困難な正規化関数(分配関数)の計算を回避して,密度関数をノンパラメトリックに推定できる方法を提案することができた.その収束性を理論的に示し,簡単な計算機シミュレーションによってその性能を検証した.今後,高次元データを含めた様々な場合の検証を行って論文としてまとめる予定である. 伝搬型アルゴリズムの位相幾何的研究に関しては,ホモロジー代数的な定式化に関して基礎的な検討を継続して行った. 位相幾何的な研究を進める過程で,近年発展しているパーシステントホモロジーという概念がデータ解析に多くの可能性を有していることがわかり,基礎的な検討を開始した.パーシステントホモロジーは,近傍グラフなどを利用してデータ解析を行う際に,近傍を決める閾値を様々に変化させたときの近傍グラフの位相的情報(ホモロジー群)をまとめて表現する方法で,近傍の閾値に対して安定した位相情報を抽出することができる点にメリットがある.これを遺伝情報処理の課題に応用する方法に関して基礎的検討を行った.来年度にさらに研究を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無限次元指数分布族に関しては,スコアマッチングを用いた新たな推定方法を考案し,その効率的な計算法を提案するなど,当初の計画以上の進展が見られた.伝搬型アルゴリズムの位相幾何的研究に関しては,本年度は基礎的な検討を継続して行っている段階で,計画よりも若干遅れている状況である.一方,パーシステントホモロジーという最近の代数位相幾何的方法に関して,新たな研究の展開が見られた.これらを総合して,全般的にはおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は最終年度にあたるため,今まで若干遅れ気味である,伝搬型アルゴリズムの位相幾何的研究に注力し,さらなる進展を図りたい.特に,ホモロジー代数を用いた基礎付けを確立させる計画である. 無限次元指数分布族に関しては,24年度に得られたスコアマッチングの方法の理論的,数値実験的検討を深め,高次元データに対する新しいノンパラメトリック分布推定の方法として確立させたい. 新しい方向性として,24年度に検討を開始したパーシステントホモロジーに関して,基礎的な検討と遺伝情報処理への応用をまとめる予定である.
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Research Products
(20 results)