2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しく開発した生体内線維連絡可視化法による他者の意図を認知する脳メカニズムの解明
Project/Area Number |
22300104
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
一戸 紀孝 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・微細構造研究部, 部長 (00250598)
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Keywords | 顔認知 / 霊長類 / 大脳皮質 / 皮質カラム / 機能構造連関 |
Research Abstract |
他者の意図を認識するメカニズムを解明する第一歩としては、他者の意図に関連するマーモセットの領野を見つける事が本研究の最初のステップとなる。麻酔標本において下側頭葉領域の神経細胞活動を記録し、視覚刺激に対する反応を調べた。脳の腹外側面に位置する下側頭葉皮質の領域の神経細胞が複雑な物体に選択的に反応したのに対し、上側頭溝内の皮質領域には動物の眼前で他のマーモセットが餌を握るなど特定の動作を行ったときに選択的に反応する神経細胞が固まって存在する領域を見つけた。この現象は、動画上の手だけを切り出した動画を用いたり、手の位置が動かないように画像の位置を調整しつづけた動画を作成し(すなわちほとんどの体の動きは正常な動画に比べて動きが逆に見える)、その動画でも動物が物体を握る時に同様な神経活動が見られた。また、餌を映像の改変を行い消した動画(すなわち目標のない腕の運動だけの映像)と比較して見ると、餌のある画像の方が神経活動が高い細胞が多く観察された。これは、単純な動物の手の運動以上の情報(たとえば意図など)をこれらの細胞が表現している可能性を示唆していると考えられる。さらに複数の動物でほぼ同じ脳の位置にこのような神経細胞の固まりがあることを確認した。マーモセットにおいてよく発達した社会的行動を支える神経機構のひとつであると思われる。現在この領域にトレーサーを注入し、入出力を調べているが、前頭葉、頭頂葉からの強い投射がある事を確認した。また、この投射が生体内でもきれいに見える事が確認され、その内、頭頂葉からの記録も行い弱いながらも、上のSTSの領域と似た反応が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい霊長類モデルのマーモセットの電気生理を確立し、他者の意図を認識するメカニズムを解明する第一歩としては、他者の意図に関連するマーモセットの領野を見つける事が本研究の最初のステップも確立したからであり、予定通りに進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
麻酔下では前頭葉、頭頂葉の活動が抑制されているので、現在慢性電極埋め込みによる、記録の確立を試み、すでにmultiple unit activityを検出している。これにより、動画を見ていた当該マーモセットの自己の活動による電気記録を行う事も出来て、マーモセットのミラーニューロンの発見に繋がり、その形成のメカニズムに迫れる可能性を持つ。
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Research Products
(6 results)