2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300108
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
池田 真行 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (10288053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 正明 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80232198)
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Keywords | 分子・細胞神経科学 / バイオイメージング / マウス / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
本研究では、体内時計中枢であるマウス視床下部視交叉上核(SCN)とキイロショウジョウバエ(LNs)ニューロンを様々なバイオイメージング技法を用いて解析・比較することにより、時計遺伝子転写リズム、細胞内Ca2+/H+濃度リズム、および活動電位発火頻度リズムの因果関係を明らかにすることにチャレンジする。これらにより、体内時計中枢に共通する分子神経メカニズムを決定することを目的としている。 本年度は、これまでに分かってきたキイロショウジョウバエの前胸腺細胞の振動と、LNsの振動との仕組みの違いを、特に光情報入力による時計遺伝子の発現リズムの差として明確に捉えることに成功し、この結果を、Nature Communications誌に投稿し、衰終稿に至るまでのリバイズ実験をすべて完了した。 ショウジョウバエを用いた実験においては、さらに、LNsの細胞内pHに劇的な概目リズムが存在すること、及び、pHホメオスタシスに異常をきたす変異個体において、歩行活動リズムの遅延を観察するなど、新たな発見もあった。 マウスのSCNニューロンの細胞内Ca2+濃度リズムについての研究も進展し、SCN特異的にBma11をノックダウンすることにより、細胞内Ca2+濃度リズムが減衰することなども明らかになった。これらの背景を基に、今後、Perルシフェラーゼ発光と細胞内Ca2+濃度(Yellow Cameleon蛍光レシオ)の交互測定を行う予定である。 これらの研究成果に加え、本年度は、睡眠覚醒リズム制御におけるヒスタミン神経系の役割を、幾つかのH1受容体アンタゴニストを用いて調べ、現在、入眠導入薬として使われているジフェンヒドラミンやクロロフェニラミンにあまり大きな作用が認められないこと、及び、第二世代H1アンタゴニストであるケトチフェンに強い睡眠促進作用があることを明らかにし、2報の論文発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ショウジョウバエの体内時計細胞の振動機構についての論文が、2012年5月にNature Communications誌に受理された。哺乳動物の視交叉上核リズムについての研究もまとめに入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ショウジョウバエの体内時計ペースメーカニューロンに大きな細胞内pH振動が観察されたため、pH感受性の少ないルシフェラーゼレポーター(Per-eLuc)の発現するトランスジェニックバエの作出を行う予定である。
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Research Products
(6 results)