2010 Fiscal Year Annual Research Report
ChIP-on-chip法による再生初期遺伝子群の同定とラット視神経再生への応用
Project/Area Number |
22300109
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 聖 金沢大学, 医学系, 教授 (10019614)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 視神経再生 / Hsp70 / 最初期遺伝子 / 網膜神経節細胞 / 細胞生子 |
Research Abstract |
ヒトと異なり魚類の視神経は損傷を受けても再生する。この再生のためには損傷後様々な遺伝子が網膜、特に神経節細胞で発現することが予想される。我々はこの遺伝子群を再生関連遺伝子群(RAGs)と呼ぶ。本研究ではゼブラフィッシュの視神経再生過程において最初期に発現上昇する遺伝子を見つけ、その機能や局在について研究し、ひいては再生が不可能なヒトの視神経再生に寄与すべく実験を計画した。その結果、Heat-shock protein70 (Hsp70)遺伝子が損傷後30分以内に網膜で発現上昇し、24時間でピーク(約2.5倍)となり72時間で対照群(コントロール)値に戻ることを見つけた。またこの局在はHsp70のmRNA、蛋白共に網膜神経節細胞であることが判明した。Hsp70の転写因子であるHsf-1遺伝子も損傷後20~30分以内に有意に発現が上昇し、24時間でピーク(約2.6倍)となり、72時間でコントロール値に復していた。また、そのリン酸化抗体phospho-Hsf1蛋白の局在は神経節細胞の核内であった。次にHsp70の特異的阻害剤の眼球内投与により、Hsp70のmRNAおよび蛋白の発現が完全に抑制された。それに伴い細胞生存(Bc1-2の発現)、神経再生(GAP43の発現)が有意に抑制され、或いは遅延した。以上の結果より、Hsp70が神経再生過程の開始にあたり神経細胞の生存に重要な役割を果たすことが証明された。一方、ラットの視神経を損傷し、網膜でのHsp70の発現を調べたところ、損傷後24時間以内での有意な発現上昇が見られなかった。この魚とラットの違いを現在検討中である。
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Research Products
(6 results)