2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症の運動ニューロン死:リボソームRNA遺伝子転写とTDP-43
Project/Area Number |
22300117
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小柳 清光 信州大学, 医学部, 教授 (00134958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 俊雄 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (40124416)
山崎 峰雄 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10277577)
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Keywords | ALS / RNA / ストレス顆粒 / TDP-43 / FUS |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の運動ニューロン死のメカニズムを、TDP-43とRNAの連関から解明する事を目的に研究を進めた。 核小体に存在し、リボゾームRNAの転写に関連するヌクレオリンの量と運動ニューロン変性との関連を、対照3例、脊髄運動ニューロン脱落軽度ALS4例、脱落高度ALS3例において検討した。結果は、ALSでは大きさがほぼ保たれた運動ニューロンでもヌクレオリンが有意に減少していた。これは、運動ニューロン変性に先立ってヌクレオリンが減少していくことを示しており、ヌクレオリンの減少が運動ニューロン変性の極めて早期に生じる出来事であることを示唆している。 リン酸化非依存性およびリン酸化TDP-43抗体を用いた、TDP-43の核内および胞体内の定量、rRNA遺伝子転写活性の定量を、日本人孤発性ALS8例、日本人対照6例の腰髄前角細胞で行った。核内にTDP-43が見られる前角細胞、細胞質にリン酸化TDP-43がびまん性に見られる前角細胞、細胞質内にリン酸化TDP-43封入体が見られる前角細胞、を区別して、各々の前角細胞におけるAgNOR陽性領域(リボゾームRNA遺伝子転写活性)を計測した。結果は、TDP-43がALS脊髄運動ニューロン核内から細胞質ヘシフトし、リン酸化することと、リボゾームRNA遺伝子転写活性の減少とが連関していた。すなわちALS脊髄運動ニューロンにおいては、TDP-43のリン酸化と細胞内移動、および蛋白合成系異常(RNAの量的異常)とが強く連関していることを見出した。 さらに、TDP-43と同様に前頭側頭葉変性症で異常蓄積する事が注目されているFUS/TLSが、グアム島ALSの大脳内包においてTDP-43と共存すること存見出した。
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