2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳領域依存的なアミロイドベータ蛋白質蓄積の分子機構解明
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22300118
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
柳澤 勝彦 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 副所長 (10230260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 晃一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 岡崎統合バイオサエンスセンター, 教授 (20211849)
村山 繁雄 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 老年病のゲノム解析研究チーム・高齢者ブレインバンク, 研究部長 (50183653)
松原 輝彦 慶応義塾大学, 理工学部, 講師 (10325251)
山本 直樹 立命館大学, 薬学部, 助教 (90393157)
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Keywords | 蛋白質 / 認知症 / 糖鎖 / アルツハイマー病 / アミロイドベータ蛋白質 / 老人斑 / 質量分析 / NMR |
Research Abstract |
研究成果:本研究はアルツハイマー病(AD)における中核的病理所見であるアミロイドB蛋白質(AB)の脳内における重合・蓄積の分子機構を明らかにすることを目的に、アミロイド形成の脳領域依存性に着目し、神経細胞膜誘導性AB重合の特性に焦点をあて、AD症例を含む高齢者剖検脳より調整した神経細胞膜試料を対象に、解析、検討を行うものである。初年度においては、解析対象とする脳試料を東京都健康長寿医療センター・高齢者ブレインバンクより、AB蓄積初期段階脳及びAB非蓄積脳を抽出し、それらより楔前部(AB蓄積好発部位)及び鳥距溝(AB蓄積回避部位)の切り出しを行った。次に、脳試料から細胞レベルでのAB蓄積開始部位とされる神経突起末端部の細胞膜を調整する方法を培養神経細胞及びマウス脳を対象に確立し、質量分析等による膜脂質組成解析の準備を行った。さらに、神経細胞膜脂質組成の変容のAB重合誘導効果を定量的ならびに定性的に評価することを目的に、有機溶媒による脂質可溶化、マイカ基盤上における再構成膜作製、また再構成膜上でのAB凝集のatomic force microscopyによる観察手法の構築を行った。加えて、特異な脂質組成を有する神経細胞膜上でABが構造変化を獲得し、その結果として可溶性A3の重合を促進する"種"になることを検証することを目的に、NMRによる解析を可能とする微小な人工的ディスク状脂質膜(bicell)の作製とその上でのABの膜結合と構造変化の解析実験を試行した。 意義及び重要性:ABの脳内における重合開始の分子機構を明らかにすることはAD研究において、その病態解明のみならず治療薬開発の視点からも最も重要な研究課題の一つである。今年度の研究により、AB蓄積開始部位を有するヒト剖検脳及び対照脳より試料を得て、高い精度での分子レベルの脂質解析を進める準備が整った意義は大きく、二年目以降のデータの導出に期待したい。
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Research Products
(40 results)