2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経シナプスアクティブゾーンの分子構造基盤と生理機能の解明
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22300120
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大塚 稔久 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (40401806)
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Keywords | 神経伝達物質・受容体 / アクティブゾーン / シナプス小胞 / CAST / リン酸化 |
Research Abstract |
神経終末アクティブゾーンは神経伝達物質を含有したシナプス小胞が特異的にドッキングし前シナプス形質膜と融合する部位であり、神経伝達物質の放出を時間的・空間的に制御していると考えられている。アクティブゾーンは種を超えて、また中枢神経のみならず末梢神経においてもよく保存された構造体である。リン酸化酵素SADキナーゼは大脳海馬の神経終末において、シナプス小胞とアクティブゾーンに局在している。そこで、SADの末梢神経における局在を明らかにするためにSAD-B特異抗体を用いてマウスの神経筋接合部neuromuscular junction(NMJ)を解析した。NMJのマーカーには神経毒であるα-bungarotoxinを用いた。マウス横隔膜のNMJにおいて、SAD-Bはいま一つのアクティブゾーン蛋白質Bassoonと同様の点状の局在を示し、アセチルコリン受容体(後シナプスに局在)に結合するα-bungarotoxinと近接する局在パターンであった。Bassoonが主に点状のパターンであるのに対し、SAD-Bは点状でかつdiffuseなパターンも示し、これはシナプス小胞のマーカーであるsynaptophysinと同様であった。また、SAD-Bのノソクアウトマウスでは、SAD-Bのシグナルは消失した。同様の局在は、脊髄spinal cordでも観察でき、このことはSAD-Bが中枢神経のみならず末梢神経においても同様の発現と局在をしていることを示唆する。NMJにおいてもSAD-Bが神経伝達物質の放出に関与している可能性が高く、SADノックアウトマウスでは個体が生後すぐに死亡することから、その原因の一つとしてNMJによる神経伝達物質の放出が阻害されることによる呼吸不全も考えられる。
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Research Products
(7 results)