2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経シナプスアクティブゾーンの分子構造基盤と生理機能の解明
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22300120
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大塚 稔久 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (40401806)
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Keywords | 神経伝達物質・受容体 / アクティブゾーン / シナプス小胞 / CAST / リン酸化 |
Research Abstract |
神経終末アクティブゾーンにはCAST, ELKS, Bassoonなどの構造蛋白質以外に、カルシウムイオンの流入を制御する電位依存性カルシウムチャネルVDCCが存在する。本年度は、まず、CASTがVDCCのbetaサブユニットと直接結合し、生体内においても分子複合体を形成していることを生化学的に明らかにした。VDCC betaサブユニットはCASTのC末領域に結合した。さらに、CASTはチャネル活性を有するVDCC alphaサブユニットとも結合したが、betaサブユニットとの結合よりは開かなかった。また、BHK細胞にVDCC複合体およびCASTを過剰発現させ、VDCCの機能を電気生理学的に解析したところ、CASTが存在することでVDCCが開口しやすくなることを見出した。アクティブゾーン蛋白質がVDCCの活性化を制御するという初めての報告であり、成果はThe Journal of Biochemistry誌に採択された(論文リスト1)。アクティブゾーン蛋白質とVDCCの相互作用の研究分野は始まったばかりであり、本成果は当該研究分野において重要な発見といえる。 VDCC betaサブユニットは1~4までのファミリーメンバーが知られているが、CASTは特にbeta4と強い相互作用を示した。betaサブユニットファミリーは脳内で異なる発現を示しており、CASTとの相互作用が脳内の異なる部位でそれぞれ調節されている可能性も高い。今後、脳の領域特異的にCASTがどのようなVDCCファミリーと結合しているかを明らかにすることで、脳内各部位(海馬や小脳など)における神経伝達物質放出の制御機構の違いを解明できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VDCCとの相互作用について生化学的・電気生理学的に新しい知見を得ることができ、論文発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
CAST遺伝子改変マウスに関して、生化学的・形態学的・電気生理学的解析をおこなう。また、マウス行動学的解析も行い、精神神経疾患のモデルマウス作出を試みる。さらに、ファミリーメンバーであるELKSとのダブルKOマウスの作製・機能解析を進める。
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