2010 Fiscal Year Annual Research Report
感覚神経のミエリン発生と脱ミエリン現象を司る新規分子基盤の解明
Project/Area Number |
22300123
|
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
山内 淳司 独立行政法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 室長 (20335483)
|
Keywords | ミエリン形成 / 脱ミエリン現象 / 分子メカニズム / シグナル伝達 / 低分子量GTP結合蛋白質 / キナーゼ / 遺伝子改変動物 / 標的分子 |
Research Abstract |
末梢神経ミエリン形成のシグナル伝達機構を明らかにするために、独自の初代シュワン細胞-神経節神経細胞共培養を利用し、RNA干渉法や細胞透過性低分子化合物を用いて、そこに関与する分子を同定した。前者はシグナル伝達分子を中心にして当研究室で独自に作成された線状型RNA(shRNA)ライブラリーを用い、後者は細胞透過性の配列を付加したペプチドライブラリーを用いた。マウスやラットのミエリン形成過程は胎生中期から数ヶ月におよび、いくつかの発生過程に分類される。今回、そのなかで、とくに初期過程であるシュワン細胞の細胞遊走期に関係する新しいシグナル伝達因子がいくつか単離された。以前、研究代表者らは初期ミエリン形成過程に関与する遺伝子として低分子量GTP結合蛋白質の活性化因子としてDock7を見出し、そのクローニングに成功したが、興味深いことに、Dock7とホモロジーが高いDock8も、この過程に含まれることが分かった。Dock8は既にFLJ00346として同定されている遺伝子である。しかし、どのような活性を有するか不明であった。したがって、分子特性を明らかにすることから研究を着手したところ、Dock8はRac1とCdc42の両方を活性化するということが判明した。さて、Dock8はスクリーニングから明らかにされた分子であるため、実際にミエリン形成に関与しているかどうかを明らかする必要がある。そこで、新しいDock8特異的なRNA干渉配列をもつオリゴヌクレオチドを作成し、その効果を検討したところ、スクリーニング結果と同じように、それが少なくとも初期のミエリン形成過程に含まれていることが分かった。今後、先に明らかにされたDock7とともにDock8の遺伝子改変動物を作成することで、生体レベルでのミエリン形成メカニズムを検討する。
|
Research Products
(9 results)