2011 Fiscal Year Annual Research Report
感覚神経のミエリン発生と脱ミエリン現象を司る新規分子基盤の解明
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22300123
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
山内 淳司 独立行政法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 室長 (20335483)
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Keywords | ミエリン形成 / 脱ミエリン現象 / 分子メカニズム / シグナル伝達 / 低分子量GTP結合蛋白質 / キナーゼ / 遺伝子改変動物 / 標的分子 |
Research Abstract |
感覚神経のミエリン形成とその脱ミエリン現象のシグナル伝達機構を明らかにするために、独自の初代シュワン細胞-神経節神経細胞共培養を利用し、RNA干渉法や細胞透過性低分子化合物を用いて、そこに関与する分子を同定した。前者はシグナル伝達分子を中心にして当研究室で独自に作成された線状型RNA(shRNA)ライブラリーを用い、後者は細胞透過性の配列を付加したペプチドライブラリーを用いた。マウスやラットのミエリン形成過程は胎生中期から数ヶ月におよび、いくつかの発生過程に分類される。今回、そのなかで、とくに初期過程であるシュワン細胞の細胞遊走期に関係する新しいシグナル伝達因子がいくつか単離された。以前、研究代表者らは初期ミエリン形成過程に関与する遺伝子として低分子量GTP結合蛋白質の活性化因子としてDock7を見出し、そのクローニングに成功した。これらの性状に関しては昨年度の研究で明らかにした。 また、昨年度の研究実績の概要で、その遺伝子改変マウスを作成することを計画していた。本年度はそのマウスの開発に成功し、いくつかの知見を得ることができた。Dock7の遺伝子改変マウスを用いた研究から、感覚神経組織でDock7の機能不全がおきると、ミエリンが厚くなり非常にその容量が増えていることが判明した。つまり、正常なマウスに比べ、健康的なミエリンができていた。このことから、Dock7はミエリン形成を阻害する分子であり、その機能阻害を生体レベルで起こすと健康なミエリンができるため、この分子が脱髄病の創薬標的として適していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画次年度にも関わらず、短期間でin vitroの成果を、in vivoで検証することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで試験管レベルの研究で獲得されている「感覚神経のミエリン形成とその脱ミエリン現象のシグナル伝達機構」に関与する新規分子を、ミエリン形成を促進するもの、阻害するものに区分して、可能な限り、生体レベルでそれらの機能が保存されているかどうかを判定する。
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Research Products
(4 results)