2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの各種体性感覚(特に痛覚と痒み)の脳内認知機構の解明
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22300135
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
柿木 隆介 生理学研究所, 統合生理研究系, 教授 (10145196)
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Keywords | 脳波 / 脳磁図 / 体性感覚 / 痛み / 触覚 / 視覚 / 注意 |
Research Abstract |
本年度は7編の英文原著論文を発表した(印刷中を含む)。主要な論文について内容を紹介する Kida T,Inui K,Tanaka E,Kakigi R(2011)Dynamics of within-inter-and cross modal attentional modulation.Journal of Neurophysiology 105,674-686,2011 感覚刺激が入力される空間に注意を向けると、その刺激に対する行動反応が促進するとともに神経活動が増大することがよく知られている。私たちは先の研究で視覚性空間的注意による体性感覚誘発脳磁場の増大を認め、空間的注意には視覚から触覚へと感覚系を超える影響があることを明らかにした。本研究では逆方向すなわち触覚から視覚への影響について視覚誘発脳磁場を用いて検証した。視覚刺激と触覚刺激を右視野(右手)と左視野(左手)に約1秒間隔でランダム順に提示した。注意条件は右触覚注意、左触覚注意、右視覚注意、左視覚注意の4条件であった。視覚刺激後 150ms で後頭側頭部(M150ot)に、180msで外側前頭部(M180f)に脳磁場反応が認められた。M150ot反応は視覚系内空間的注意と感覚系間注意によって増大するだけでなく、視覚刺激が入力される空間と同じ場所に触覚性注意を向けたときにも増大した。一方 M180f反応は視覚系内空間的注意と感覚系間注意によって増大したが、触覚性空間的注意の影響を受けなかった。等価電流双極子推定法と最小ノルム推定法により、M150ot反応は中後頭回(MOG)と側頭頭頂接合部(TPJ)から、M180f反応は中前頭回(MFG)と下前頭回(IFG)から生じると考えられた。以上より、空間的注意に関して視覚と触覚の間には双方向性の連関があり、後頭側頭部の脳磁場反応に反映されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この2年間の間に、申請テーマに関する英文原著論文を10編発表した。いずれも、Journal of Neurophysiology,Journal of Pain,Neuroimageといった高いインパクトファクターの雑誌に掲載され、国際的にも高い評価を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究は順調に進展しており、来年度も5編以上の英文原著論文の発表を予定している。毎年、5編以上の英文原著論文の発表というのは、十分に基盤研究(B)としての水準を満たしていると考えている。
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Research Products
(9 results)