2011 Fiscal Year Annual Research Report
特徴カラムの組み合わせによる物体像の表現と視覚認識
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22300137
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
谷藤 学 独立行政法人理化学研究所, 脳統合機能研究チーム, チームリーダー (60197530)
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Keywords | 物体認識 / ポピュレーションコーディング / カラム / 物体像表現 / 下側頭葉 / 視覚連合野 / 電極アレイ / 視覚連合野 |
Research Abstract |
麻酔下の動物を用いたこれまでの研究で、物体像は下側頭葉視覚連合野ITに複数のコラムの興奮を引き起こすこと、その物体像を単純にすると、活動していたカラムの一部が消失することがわかった。これらの研究から、ひとつひとつのカラムは物体像に含まれる図形特徴を表現していて、物体像はこのような図形特徴カラムの組み合わせとして表現されることが示唆された。本プロジェクトでは、覚醒下の動物が物体像を認識する過程で、このような図形特徴カラムの組み合わせによる物体像の表現はどのような意味を持つかに取り組む。そこで、カラム応答を覚醒動物から記録するための電極アレイ技術を開発し、それを用いて認識課題遂行中のカラム応答を記録する。その過程において本年度は以下の成果を上げた。 1.ITの上を覆う骨は海綿骨で柔らかく電極アレイを固定することがきわめて難しいという問題があった。電極アレイの構造上の問題を解決することで、この問題を解決した(J.Neurosci.Methods誌に投稿中)。 2.覚醒下のカラム応答の持つ役割の解明の一歩として、電極アレイによる神経活動を覚醒と麻酔下で行い両者の比較検討を行った。その結果、時間平均の発火応答をベースにした物体像に対する応答は麻酔下と覚醒下においてほぼ同じであること、しかし、応答の時間経過をみると、覚醒時の応答には刺激選択性の低い早い成分と刺激選択性の高い遅い成分があるのに対し、麻酔下においてはそのような時間的な区分がはっきりしなかった。さらに動物数を増やして検討することが必要であるが、麻酔下でみられるコラムの応答は覚醒下において早い応答と遅い応答に分離して観測されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電極アレイの開発が予想以上に難しく、行動課題遂行中の動物からの記録をまだ開始できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
下側頭葉視覚連合野はTE野とTEO野に区分される。電極アレイからの記録はTEO野においては比較的容易なので、TEO野を研究の対象として進め、時間的な余裕があればTE野に取り組むことにする。また、新しい問題として、麻酔下と覚醒下で時間経過が異なることが分かった。本研究は麻酔下の応答特性をもとに計画されているので、麻酔下と覚醒下でどのように応答に違いがあるかを明らかにしておかなければならない。この問題にも、本計画の中で取り組んでいく。
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