2012 Fiscal Year Annual Research Report
社会性の個人差を決める脳メカニズムの解明とその利用
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22300139
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
春野 雅彦 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター 脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (40395124)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 社会性 / 個人差 / fMRI / 計算理論 / 扁桃体 / 側坐核 / 脳活動の操作 |
Research Abstract |
24年度は、公平性の評価における皮質下領域と大脳皮質の機能差を調べるためにprosocialとindiviudalistの被験者に最終提案ゲームを行って貰いその時に得たfMRIデータの解析を行った。その結果、prosocialが不公平な提案を拒否する時には扁桃体から側坐核への情報の流れが重要であることがあきらかとなった。一方で、prosocial、individualist共通に不公平に反応する脳部位としては島皮質、背外側前頭前野、帯状回皮質が得られた。このことから、結果の公平性を直観的に求める扁桃体-側坐核の機能と、不平等に対して熟慮的に判断する大脳皮質の役割の違いが明らかになった。現在、この結果は論文投稿中である。 さらに、意思決定における扁桃体から側坐核への情報の流れについて調べるため、cue-reward associationの学習において、cueの提示前に恐怖表情の顔と中立表情の顔を提示して学習速度に影響を与えるかを検討した。その結果、恐怖表情を出したときには学習率が上昇するこで学習速度が上昇し、fMRI解析から、扁桃体が側坐核に作用し、報酬予測誤差信号が拡大されていることが示唆された。この結果は、Journal of Neuroscience誌に掲載された。 Reward Prediction Error Signal Enhanced by Striatum–Amygdala Interaction Explains the Acceleration of Probabilistic Reward Learning by Emotion N Watanabe, M Sakagami, M Haruno. The Journal of Neuroscience 33 (10), 4487-4493 (2013).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公平性の判断における皮質下領域、大脳皮質領域の機能差が明らかになり、次段階の脳活動操作実験に向けてその対象領域を明確化することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の結果、prosocialが不公平な提案を拒否する時には扁桃体から側坐核への情報の流れが重要であることがあきらかとなった。一方で、prosocial、individualist共通に不公平に反応する脳部位としては島皮質、背外側前頭前野、帯状回皮質が得られた。このことから、結果の公平性を直観的に求める扁桃体-側坐核の機能と、不平等に対して熟慮的に判断する大脳皮質の役割の違いが明らかになった。 今後の研究では脳活動の操作による行動変化を通してモデルの妥当性を評価し更なる詳細化を計る。より具体的には、(結果の)公平性と相手が自分に対して持っている期待を独立に操作できる課題を考案し、その課題中に公平性判断に関わっている部位、相手の期待の判断に関わっている部位を特定する。仮説としては、公平性が皮質下領域、相手の期待の判断には背外側前頭前野が関与すると考えている。公平性、相手の期待の両者が協力行動に深く関与すると思われるため、tDCS、ニューロフィードバックの手法でこれらの脳活動を選択的に操作し、その時、行動がどう変化し、モデルのどのパラメータが変化するかを特定する。 この段階の研究に成功すれば、協力行動における個人差のある程度をカバーする計算モデルが因果関係を持って証明できるものと考えている。
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Research Products
(3 results)