2010 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞を用いたノックアウトラットの作製と臓器再生
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22300147
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
平林 真澄 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 准教授 (20353435)
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Keywords | ラット / 胚性幹細胞 / トランスジェニック / FGFレセプターインヒビター / MEK活性化インヒビター / GSK3インヒビター / Kusabira-Orange遺伝子 / キメラ |
Research Abstract |
ランダムインテグレーションによるCAG/huKO-Tgラットの作製(平林) FGF、MEK/ERK、TGF-β等の分化誘導シグナル伝達系の阻害剤と、胚性幹(ES)細胞の増殖に必須のβカテニンのシグナルを抑制するGSK3の特異的阻害剤を培養液に添加することにより、ラットのES細胞株が樹立できると報告された(Cell 135 ; 2008)。本実験では、新たに樹立した近交系Brown-Norway (BN)ラット由来のES細胞株を用い、Kusabira-Orange遺伝子(CAG/huKO-neo)導入がキメラ個体作製に及ぼす影響ついて調べた。BN由来のE4.5胚盤胞10個を、FGFレセプター阻害剤、MEK活性化阻害剤およびLIFを含むN2B27培地でマイトマイシン処理マウス繊維芽細胞上に播種した。6日後に増殖したICMを単離し、小塊に崩して3日間培養した。0.05%トリプシン処理を経て増殖コロニーを数回継代し、4ラインのES細胞株を得た。このうちSry陽性の細胞株(1×10^6個)を用い、CAG/huKO-neo遺伝子(25μg)をキュベット(500μl)に入れ、800V、10μF、抵抗∞のパルス条件でエレクトロポーレーションをかけて60-mmディッシュ上に播種した。3日後にG418(200μg/ml)を添加し、4日後の生存コロニーからKusabira-Orange発現コロニーを回収した。これらのES細胞10個をアルビノラット由来のE4.5胞胚腔内に顕微注入し、移植胚91個から34匹(37%)の産仔が生まれ、うち25匹(74%;♂14、♀11)が毛色キメラだった。産仔率、キメラ産仔率とも、遺伝子非導入の陰性対照ES細胞での結果(それぞれ38%と89%)と有意な差はなかった。♂のキメラ9個体と野生型♀ラットとの交配により計118匹のF1産仔を作出したところ、1キメラ個体に由来するF1産仔25匹中の6匹がCAG/huKO-neo遺伝子を発現していた。以上、ラットES細胞を介してTgラット(F1世代)を作製することに初めて成功した。
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Research Products
(9 results)