2011 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素に対する生体適応反応を利用した再生組織へのin vivo血管誘導法の確立
Project/Area Number |
22300159
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 政廣 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (60158954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越阪部 奈緒美 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (30554852)
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Keywords | in vivo / 血管新生 / 微小循環 / 再生医療 / 低酸素 / 生体適応 |
Research Abstract |
組織への栄養供給は,細動脈と細静脈間にある毛細血管で行われるが、この毛細血管血流は周囲組織の酸素状態に関係し、毛細血管上流に位置する細動脈の収縮・拡張により制御されていると考えられている。 本研究は、動物実験により生体顕微鏡下に微小循環を直接観察し、この組織の酸素環境(組織酸素分圧)と毛細血管血流の関係を詳細に調べ検討することにより、再生組織への効率的な酸素供給を行うための最適酸素環境の決定を試みるものである。初年度の研究において、平常時骨格筋において急性的に組織へ多くの酸素を供給するためには筋組織を低酸素環境にし、毛細血管血流を増加させることが望ましいという結果を得た。今年度はこの結果を基に同一個体のラット背部にほぼ同様の傷を作成し、傷周辺組織を高酸素透過性および低酸素透過性フィルムで覆い受傷部を異なった酸素環境に保った状態で、その後の再生・治癒状態を比較した。その結果、組織容積が小さく毛細血管からの酸素供給を必要としない組織再生過程初期においては、毛細血管新生に有利な低酸素環境よりも、十分な酸素が組織周囲に存在し拡散のみで十分な酸素供給が可能な高酸素環境のほうが有利である可能性が高いこと、また、再生組織がある程度の大きさになると外気からの酸素供給では不十分となり、新生毛細血管数を確保する必要が高くなるのではないかと思われる結果が得られた。これらの結果を基に、最終年度である24年度には最適酸素環境を決定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の組織再生(創傷治癒)に関する研究では、自然再生可能・不可能な組織欠損の程度が不明であった。本年度の研究成果により、自然治癒可能および不可能な組織欠損の程度が判明したため、最終年度は、それぞれの創傷治癒に最適な酸素環境を整えることが可能になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス背部チャンバー内の酸素分圧の調整を、酸素透過性が異なるコンタクトレンズ素材を用いることにより行う計画でいた。しかし、高酸素透過性素材を用いた場合の再生組織周辺の酸素分圧が予定の値まで上昇しないことが多く、素材の厚みをより薄くするか、新たな素材を検討する必要がある。最終年度では、厚みを薄くするとともに、薄膜フィルムと強度を保つためのメッシュを組み合わせた観察ウインドウの利用も試みる。
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