2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工赤血球を用いるガスバイオエンジニアリングと医療への応用
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22300161
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 宏水 早稲田大学, 重点領域研究機構, 准教授 (70318830)
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Keywords | 人工臓器工学 / 再生医工学 / 人工血液 / リポソーム / 輸血代替 / 人工赤血球 / ヘモレオロジー / ヘモグロビン |
Research Abstract |
分子集合体である人工赤血球「ヘモグロビン(Hb)小胞体」の特長は、その物性値を自在に調節できることにある。また、新たな機能を粒子に付与することも可能である。本研究では、このテイラーメード人工赤血球を対象とし、生体内におけるガス反応を制御させることにより輸血では対応の出来ない医療技術に応用させることを目指している。平成23年度には先ず、(1)テイラーメード人工赤血球を効率的に調製する方法について検討し、調製条件の最適化をはかった。(2)活性酸素を捕捉するシステムを粒子内に構築し、ヘモグロビンの酸化劣化を遅延させる試みについて、チロシン-metHb添加系を検討したものの十分な効果が得られず、そこで方針転換を行い、脂質二分子膜を介した電子伝達系と、水溶性の電予供与体の添加系について検討を行なった。酸素を結合したHb小胞体をラットに投与した後、metHbレベルが上異(50%程度に到達)した時点で電子伝達系を投与し、その詳細条件(電子伝達系溶液の溶解濃度、投与容量、タイミング)を調べ、酸素運搬機能の大幅な持続が可能となる条件を見出した。(3)移植臓器の灌流液としての利用を検討するため、外部機関の研究協力者の協力を得て、ラット切断下肢の長時間灌流を試みた、灌流実験系の構築(灌流速度、灌流圧、浮腫、灌流液の酸素分圧、乳酸の計測など)を完了したので、次年度には様々な溶液組成の灌流液について灌流および下肢の再接着を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の2年目が終了した。既に人工赤血球の微小血管モヂル内でのガス分子(NO,CO)との相互作用の解析、また培養させた血管内皮細胞に対する人工赤血球流体の影響についても検討を行い、濃厚な微粒子分散液としての特徴が可成り明らかになってきた。関連の学会発表、論文印刷も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
課題とされたメト化による機能寿命の限界について、その延長が可能となってきたので、人工赤血球の新しい利用法の開発を今後も続ける。
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Research Products
(13 results)