2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋内ラジカル分子計測による糖尿病性心内膜側冠微小循環障害発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
22300162
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 博 川崎医科大学, 医学部, 助教 (10299183)
守田 吉孝 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50346441)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10152365)
|
Keywords | 糖尿病 / 冠微小循環 / 内因性過酸化水素 / 内皮由来過分極因子 / 冠血管予備能 |
Research Abstract |
目的:今回導入したマルチモード発光・蛍光・吸光度計測器(ELISA)を用いて、eNOSから産生されている内因性過酸化水素の産生経路を明らかにし、同時にCCD生体顕微鏡システムを用いて、イヌ正常及び糖尿病モデルで血管内皮機能の評価を行い、内因性過酸化水素との関連を明らかにする事を目的とする。 方法:麻酔開胸犬(正常及び糖尿病モデル)の心冠静脈洞(心臓出口)における血液サンプリング後、蛍光用過酸化水素計測キットを用いて、ELISA法による内因性過酸化水素の定量評価を内皮由来血管拡張物質(ブラジキニン)投与前後で行った。 結果:正常犬において、ELISA法により、安静時ベースラインのデータに比べ、ブラジキニンの冠動脈内投与後(10,20μg/ml/min)、濃度依存性に過酸化水素の増加を認めた。その反応は、過酸化水素分解薬であるcatalase投与により、明らかに消失した。CCD生体顕微鏡を用いて、正常及び糖尿病(1週)モデルで心外膜側微小血管のブラジキニンによる冠微小血管予備能の比較を行った所、正常群に比べ、糖尿病群では、特に一酸化窒素の作用する100μm以上の小動脈では、明らかに血管拡張反応はほとんど消失した。それに比べ、過酸化水素に作用する100μm未満の細動脈では、血管拡張反応は、減少したが、半減するまでには、至らなかった。同時に冠静脈洞内過酸化水素濃度は、正常群に比べ、糖尿病群では、減少を認めたが、その程度は、糖尿病群の安静時ベースラインのデータに比べ有意な増加を認めた。 結論:マルチモード発光・蛍光・吸光度計測器を用いたELISA法により、内因性過酸化水素の定量評価を行った。糖尿病時には、一酸化窒素消失の代償機能として、内因性過酸化水素の増加および過酸化水素の作用の場である冠微小細動脈の拡張を認める事が窺われた。
|