2010 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイトナノキャリアを用いた胃癌のマイクロRNA治療の開発
Project/Area Number |
22300169
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 秀和 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70255454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 義正 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (90360114)
赤池 敏宏 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (30101207)
金井 弥栄 国立がん研究センター, 病理部, 部長 (00260315)
大西 保行 (財)実験動物中央研究所, バイオメディカル研究部, 室長 (70201382)
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Keywords | マイクロRNA / アパタイトナノキャリア / 癌遺伝子 / 胃癌 / 担癌動物 / 細胞内導入 |
Research Abstract |
研究代表者らは、microRNA-29c (miR-29c)発現が異型上皮から早期胃癌、進行胃癌と進行するにつれ低下度が増すことを臨床研究で明らかにした。このmiR-29c発現は未分化型胃癌細胞AGSに選択的シクロオキゲナーゼ2阻害薬(celecoxib)を投与すると有意に上昇し、標的癌遺伝子Mcl-1発現が抑制されたが、pre-miR-29cの細胞内導入でもMcl-1発現が低下したことから、celecoxibによる癌遺伝子発現低下に海R-29cが重要であると考えられた。本研究では、pre-miRsの細胞内導入に際し分担者の赤池らが開発した、細胞障害性が極めて少なく細胞内蛋白への影響も少ない炭酸アパタイトナノキャリア(生分解性、多機能性ナノ粒子)を用いた。胃癌で発現低下が既に報告されたmiR-375、miR-152をAGSや分化型胃癌細胞MKN74に遵入した。pre-miR-375導入で、AGSのmiR-375発現は、4×10^5倍に上昇した。一方、各miRsを挿入した真核細胞用発現vectorを用いた長期安定発現系では、miR-375発現はAGSで2000倍、MKN74で8倍、miR-152の発現は、AGS、MKN74共に7000倍に上昇した。つまり、癌細胞の分化度やmiRs自体の違いで遵入効率が異なると考えられた。一方、ヒト食道扁平上皮細胞HET-1AにCDX2発現vectorを導入した(HETIA+Cdx2)細胞にコール酸を曝露すると、miR-221/222の上昇と、標的癌抑制遺伝子p27^<Kip1>の減少を介し細胞内CDX2量が減少し細胞増殖が活性化し、食道腺癌の発癌への寄与がわかったが、このHETIA+Cdx2にアパタイトナノキャリアを用いたpremiR-221/222導入ではコール酸曝露なしでもCDX2の分解を促進し、anti-miR-221/222遵入ではコール酸曝露後のCDX2分解を阻害した。pre-miRs或いはanti-miRsの細胞内遵入にアパタイトナノキャリアは有効に機能することがわかり、in vivoのmiRs遵入でも有効性が期待された。
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Research Products
(22 results)