2011 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイトナノキャリアを用いた胃癌のマイクロRNA治療の開発
Project/Area Number |
22300169
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 秀和 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (70255454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 義正 慶應義塾大学, 薬学部, 准教授 (90360114)
赤池 敏宏 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (30101207)
金井 弥栄 国立がん研究センター研究所, 病理部, 部長 (00260315)
大西 保行 慶應義塾大学, 実験動物中央研究所, 研究員 (70201382)
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Keywords | マイクロRNA / アパタイトナノキャリア / 癌遺伝子 / 胃癌 / 担癌動物 / 細胞内導入 |
Research Abstract |
胃癌組織で発現低下するmicroRNA-375は、胃癌細胞株MKN74に導入することで、直接的標的であるPDK1の翻訳を抑制し、PI3K-Akt系を抑制し、細胞増殖を抑制することが報告されており、発癌抑制に関係すると考えられている。本研究では、このmicroRNA-375導入胃癌細胞MKN74では、シスプラチンのIC_<50>がcontrolの60%に減少し、アポトーシスが促進された。しかし、PDK1を抑制するsiPDK1導入ではシスプラチン感受性は変化せず、異なる標的を介して、感受性を変化させると考えられた。microRNA-375は、胃癌抑制だけでなく、シスプラチンの抗癌作用も増強することが示された。別系で、食道扁平上皮細胞株HET-1AにCDX2発現ベクター導入細胞(HET1A+Cdx2)とmockベクター導入細胞(HET1A+LacZ)を作製し、コール酸曝露下に、細胞増殖能、CDX2蛋白量の変化、及びCDX2分解を抑制するp27Kip1、とその標的のmicroRNA-221/222の発現を比較した。コール酸曝露でHET1A+LacZで細胞増殖は抑制されたが、HET1A+Cdx2では促進され、HET1A+Cdx2中で、CDX2量はコール酸濃度依存性に減少、microRNA-221/222の発現は上昇、p27Kip1発現は低下した。胆汁酸は、microRNA-221/221の発現を上昇させ、標的であるp27Kip1を減少させ、proteasome分解系を介したCDX2分解を促進すると考えられた。また、食道腺癌細胞OE33でのアパタイトナノキャリアを用いたmicroRNA-221/221機能阻害でもCDX2量の上昇とともに細胞増殖が抑制された。特異的阻害で細胞増殖が抑制されたことから、microRNA-221/221は、食道胃接合部癌の新たな分子標的になりうると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞による反応性の変化、miR単独での抗腫瘍効果が、比較的弱いために、化学療法(シスプラチンなど)との併用による効果の検討を行うこととしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロRNA治療については、その標的特異性から、個々の癌腫に対するテーラーメード医療としての応用が期待できる。今回、低細胞障害性の細胞内核酸導入法として、アパタイトナノキャリアを用いることで、in vivoにおいてもマイクロRNAを低侵襲性に導入することが期待できた。しかし、個々のマイクロRNAの効果は、甚大ではなく、post-translational modifierとしての役割を期待して、従来の化学療法を補完するものとして、応用すべきと考える。現在、開発中の胃癌の担癌動物に加え、胃食道接合部癌としての食道腺癌の担癌動物などでも、アパタイトナノキャリア装填型マイクロRNAあるいは抗マイクロRNAオリゴヌクレオチドの効果を検証する予定である。
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Research Products
(30 results)