2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300171
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
寺田 弘 東京理科大学, 総合研究機構, 教授 (00035544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 慶司 東京理科大学, 薬学部, 助教 (50516359)
友田 敬士郎 東京理科大学, 薬学部, 助教 (70516400)
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Keywords | 結核治療 / 経気道投与 / PLGA / マクロファージ / ナノコンポジット |
Research Abstract |
抗結核含有微粒子製剤を結核患部である肺にピンポイント送達する薬物送達システム(DDS)によって、結核に対する根治療法を確立しようとするのが本研究の目的である。そのためには、1)各肺葉に微粒子製剤を均一に分布するように送達できる装置の開発、2)結核菌が集積している肺胞マクロファージに効率的に貧食され、しかもマクロファージに無害で、なおかつマクロファージ内で結核菌に対して抗菌作用を示す微粒子製剤の調製を行う必用がある。その結果、以下に示すような成果を得た。 1. 乳酸とグリコール酸の共重合体PLGAを基剤として用い、これに抗結核薬リファンピシンを含有させたDDS製剤は、粒子サイズが3μmの粒子が最も良く貧食され、抗結核作用も高かった。 2. 微粒子製剤は、肺胞マクロファージに対して全く無害であった。これは、PLGA微粒子製剤が貧食される際に、一酸化窒素(NO)やサイトカインを産生しないからである。 3. ポリスチレンラテックス粒子は、貧食関連のレセプターとシグナル伝達レセプターを有しているが、PLGA粒子には貧食関連レセプターのみしか存在していないことが示唆された。 4. 新規の経気道投与装置の作成を行った。 5. PLGA微粒子製剤の結核感染ラットに対する抗結核効果を経気道投与によって調べたところ、顕著な結核治療効果が見られた。経気道投与の有用性を示す世界で始めての結果である。 以上の結果は、結核の根治療法がDDS製剤の径気道投与によって確立することが可能であることを云す、極めて意義ある成果であり、次年席以降、この成果を一層発展させたい。
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