2012 Fiscal Year Annual Research Report
超安定なポリイオンコンプレックス被覆分解性高分子ミセル型ドラッグキャリヤーの開発
Project/Area Number |
22300172
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大矢 裕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10213886)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 高分子ミセル / 生分解性高分子 / ドラッグキャリヤ / ポリ乳酸 / ポリペプチド / ポリイオンコンプレックス / ヒアルロン酸 / ターゲティング |
Research Abstract |
親水性および疎水性セグメントからなる両親媒性高分子は,水中でミセル様の会合体を形成することが知られており, DDS 用キャリヤーとして有望視されている。前年度までに,生分解性のポリリシン-ポリ乳酸・AB ジブロック共重合体 (PLys-b-PLLA) から調製される正電荷を有するミセルを,ポリイオンコンプレックス(PIC)形成によりヒアルロン酸 (HA) で被覆すると,安定性の著しい向上やステルス性の付与などが達成されること,およびガラクトース修飾ヒアルロン酸 (Gal-HA) で被覆することにより,肝実質細胞に対する親和性を付与できることなどを報告した。今年度は,このガラクトース導入PIC被覆ミセルの肝実質細胞に対する親和性を定量的に評価するため,ヒト肝癌細胞HepG2を用いてフローサイトメーターによる取り込み評価を行った。その結果,比較対照群であるグルコース導入HA(Gul-HA)被覆ミセルや,阻害剤添加系と比較して,有意に高い取り込みが観測された。また,被覆するポリアニオンとしてHAを,ポリカチオンとしてポリリシン(PLys)を使用して,PIC被覆を繰り返し行うことにより,多重被覆ミセルの調製を行った。動的光散乱(DLS)およびゼータ電位測定により,被覆するごとに粒径が増大し,ゼータ電位測定においても最外層ポリマーに応じて正および負の値を示したことから,多重被覆が達成されていることを確認した。この多重被覆ミセルを,HA分解酵素であるヒアルロニダーゼおよびPLys分解酵素であるトリプシンで処理したところ,両方の酵素で処理した場合にのみミセルの分解・崩壊が観測され,最外層ポリマーに対応しない酵素では分解が起こらないことが確認された。以上の結果から,この多重PIC被覆ミセルは,複数の酵素の存在下のみで分解する多重刺激応答型DDSキャリヤとして有望であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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