2011 Fiscal Year Annual Research Report
継続的がん温熱根治療法を可能とする在宅自動治療システムの開発
Project/Area Number |
22300174
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 文博 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60323060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田倉 哲也 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00551912)
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Keywords | がん / 温熱療法 / ハイパーサーミア / 在宅治療 / 低侵襲 |
Research Abstract |
本研究の目的は,画期的ながん治療の簡便な在宅システムを構築する事にある.本提案では,ハイパーサーミア(温熱)療法を用いる事とし,注射器により刺入が可能な埋込型の針状素子と位置依存性を皆無とした特徴的な外部コイルを用いた在宅治療システムの構築を目標に検討を進めた.特に今年度としては,在宅治療実現の上で要となる励磁装置の小型化について検討を行い,独自のLC共振器を用いることで,商用電源で駆動可能な比較的小型の電源を用いた場合でも,適切な共振系を設計することで,予想される大電流を得られることを実証できた.特に,二つの励磁コイルを二つの異なる周波数で励磁する方法として二重周波数励磁法の改良も行った.使用周波数と励磁コイルを増加させ,多重構成の周波数励磁法とした事で,主に素子角度に依存しない加温完了を目指す事ができる三次元的多方向磁界を生成することも実現できた.続けて当該2種類の方法に併せて,単電源駆動で複数の励磁コイルを駆動できる手法を用いてコイルのプロトタイプモデルも製作した.このコイルを用いて,発熱素子の加温実験を行い,種々の角度に設置された発熱素子の加温に成功している.加えて電磁界シミュレーションと熱解析を併せて検討する事により,素子の位置依存性を極力避けた励磁システムについて示す事ができた.以上により,在宅治療を実現する上での大きな柱である励磁装置,言わば励磁電源の構築を示す事ができた.より在宅での治療が可能となる様に治療プロトコルも含めたシステム構成が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響で年度当初若干の進捗遅れはあったものの,インプラント型発熱素子を用いた小型励磁構成において,単電源駆動のより実質的な検討ができ,治療プロトコルの基礎を構築できた.以上,本治療法の実現に関する予想課題を解決したため,概ね順調な進展と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で提案した励磁構成と基本的な治療プロトコルを用いて在宅治療システムの構築が必要である.特に埋め込む発熱体のサイズやキュリー温度を変更することにより,様々な形状や体積を持つがんに対して有効な治療が提供できるシステムが必要となる.今後,発熱や磁界のシミュレーション,実際の発熱素子を用いた加温実験を行い,様々な条件下での加温範囲を求め,電源システムと併せた検討が必要である.
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