2011 Fiscal Year Annual Research Report
音響放射圧の高周波数超音波トラッキングによる皮膚のスマート・エイジング評価
Project/Area Number |
22300175
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西條 芳文 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (00292277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 浩 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10185895)
穂積 直裕 豊橋技術科学大学, 工学教育国際協力研究センター, 教授 (30314090)
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Keywords | 音響放射圧 / 高周波数超音波 / 皮膚 / 粘弾性 / スマート・エイジング |
Research Abstract |
皮膚のエイジングによるたるみやシワには、真皮におけるコラーゲンの量や質の変化が大きく関わっている。したがって、皮膚のスマート・エイジング評価には、表皮と真皮を判別しうる解像度で真皮の弾性を非侵襲的に計測する方法の開発が必要である。本研究では、音響放射圧によって皮膚組織に微小なひずみを発生させ、組織の変位を中心周波数120MHzの高周波数超音波の位相差トラッキングによりナノレベルの解像度で定量解析し、ひずみの伝搬速度の2乗が組織弾性に比例することを利用して、真皮の弾性計測法を確立することである。 直径5cmの半球状のPZT製超音波振動子(中心周波数1MHz)の中央に直径5mmの穴をあけたものを音響放射圧発生用のアプリケータとし、中央の穴に中心周波数100MHzのPVDF製超音波振動子を同軸に通して微小変位の測定を行った。微小振動取得用振動子には2000Hzで50Vppの電気信号を印加し高速デジタイザカードにより信号を取得した。高周波数超音波128パルスに1回25Vppで7波のバースト波を発生させ音響放射圧とした。 人工皮膚のBモード像、Mモード像、1ラインの速度変化を示すことにより、Bモード像では1層目:強化フィルム層、2層目:補強メッシュ層、3層目:スポンジ層が観察された。表面のシリコン位相変位は約180度で、100MHzの超音波の波長が15ミクロンなので音響放射圧による約7ミクロンの変位が計測可能であった。各層の最高速度は1層目:50mm/sec、2層目:22mm/sec、3層目:44mm/sec、それらの速度差から算出したひずみ率は1層目:1.0、2層目:0.4、3層目:1.4となった。 高周波数超音波の位相差解析により、音響放射圧による人工皮膚の振動計測が可能であった。算出したひずみ率はBモード像の高輝度部位で高く、低輝度部位で低かった。また、皮膚の粘弾性は皮脂腺分布と密接に関連があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した、音響放射圧による皮膚組織の層ごとの弾性率を計測に成功した。さらに、既存の弾性計測装置や三次元超音波顕微鏡による検討で、皮膚の弾性が皮脂腺分布に影響されることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は順調に進捗しており、今後も研究計画に沿って遂行していきたい。さらに、アレイ型の超音波振動子を用いることで、皮膚表面に平行な方向の音響放射圧を検出するなどという研究に発展させたい。
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