2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22300176
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅村 晋一郎 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (20402787)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 晋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30455802)
|
Keywords | 超音波治療 / 集束強力超音波 / 加熱凝固 / キャビテーション / 高速度カメラ / 分調波検出 / 生体模擬ゲル |
Research Abstract |
平成23年度は、キャビテーション気泡群を生成する強力な超音波パルス照射を、複数焦点を迅速に走査しながら行うことに続けて、生成した複数のキャビテーション気泡群を同時に振動させることのできる拡張焦域による加熱用超音波照射を行うシーケンスの強力集束超音波照射を、多チャンネル・アレイ・トランスデューサを高電圧・高出力駆動することにより行なった。すなわち、アレイ・トランスデューサを用いた高速焦点走査により、生体に類似した超音波特性をもち光学的に透明なゲルファントム中において、2-3次元的に配列したキャビテーション気泡群を生成できたことを高速度カメラにより確認し、その直後に、それらキャビテーション気泡群全体を含む広さをもつ拡張焦域により、超音波加熱を行い、焦点付近に刺入した極細熱電対とゲルファントムに含有させたアルブミンの白濁により、超音波加熱とそれによる加熱凝固がともに促進されることを確認した。また、同様のシーケンスの強力集束超音波照射を、脱気水中においた摘出臓器に対しても同様に行い、超音波加熱とそれによる加熱凝固がともに促進されることを確認した。さらに、生成されたキャビテーション気泡群を、高速度カメラによる観察結果を利用して、超音波加熱における熱源としてモデル化し、温度上昇の分布とその時間経過を推定する解析に着手した。高速度カメラにより観察されたキャビテーション気泡群を、生体組織よりも1桁程度大きな超音波吸収をもつ領域としてモデル化することにより、微細熱電対により測定した焦点付近の温度上昇の時間経過を概ね説明できることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
生体組織の超音波加熱を促進するキャビテーション気泡を、強力な超音波パルス照射によって生成するには、強力な超音波パルスを発生する超音波トランスデューサと、それを駆動する高電圧・高出力駆動回路が必要である。前者に実験における自由度の高い多チャンネル・アレイ・トランスデューサを使用する場合、後者については、市場調達可能のものでは不十分である。そこで、独自の回路方式により後者を開発することにより、多チャンネル・アレイ・トランスデューサの自由度を生かした実験に成功した。すなわち、アレイ・トランスデューサを用いた高速焦点走査により2-3次元的に配列したキャビテーション気泡群を生成し、それらを同時に振動させて超音波加熱を促進する拡張焦域を、アレイ・トランスデューサのもつ焦点面上の位相変調能力を活用して形成することができた。これは、当初の計画を越える成果である。また、このような単一焦点や拡張焦域をもつ集束超音波音場を、短時間に測定できる光学的音場測定方法を開発できた。さらに、市場調達可能な多チャンネル・アレイ・トランスデューサに比べてより低い駆動電圧においても強力な超音波を発生しうるアレイ・トランスデューサの構造を新規に案出し、その動作を数値計算において確認することができた。これらも、当初の計画を越える成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までに、生体に類似した超音波特性をもち光学的に透明なゲルファントム中において、キャビテーション気泡群を強力な超音波パルス照射によって生成できることを、発生する分調波をハイドロフォンにより捉えて検出する方法に加え、高速度カメラにより光学的に検出する方法により確かめることができた。また、生成したキャビテーション気泡群が超音波加熱を促進することを、上記生体模擬ゲルファントムと、摘出生体組織の双方に対する超音波照射による加熱凝固実験により確認することができた。さらに、生成したキャビテーション気泡群を、高速度カメラによる観察結果を利用して、超音波加熱における熱源としてモデル化し、温度上昇の分布とその時間経過を推定する解析に着手した。平成24年度は、この解析を進め、生体組織の場合に不可欠な血流の影響を取り込むことにより、本研究にて提案している超音波照射方法によって実際に生体組織を加熱する場合について、温度上昇の分布と時間経過を推定することを可能とする。
|
Research Products
(13 results)