2011 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍集積型光触媒ナノ粒子の創製と超音波力学的がん治療
Project/Area Number |
22300177
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 宣明 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (50019634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁宮 一章 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10379125)
松本 邦夫 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (90201780)
黒田 俊一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (60263406)
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Keywords | 二酸化チタン / 超音波触媒 / ナノ粒子 / ラジカル / DNAアプタマー / がん治療 / 標的化 / がん幹細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は「腫瘍細胞を認識し、がん病巣に特異的に集積する機能性光触媒ナノ粒子」と「超音波触媒法」とを融合した、非侵襲的かつ臓器機能温存型の「新規がん治療法」を確立することである。このため本年度は以下の点に焦点を合わせて研究を行い、以下の成果を得た。「二酸化チタンナノ粒子のターゲティング技術」に関しては悪性度が高くがん幹細胞のモデル細胞株として知られるヒト乳腺がん細胞株MDA-MB-231をターゲット細胞として、Cell-SELEX法を用いたDNA aptamerの選抜を行った。その結果MDA-MB-231に結合するDNA aptamerの候補を絞り込むことができ、対照がん細胞株としてヒト乳腺がん細胞株MCF-7によるカウンターセレクションを行ことでMDA-MB-231とMCF-7を識別するDNA aptamerを選抜することができた。さらにDNA aptamer 5'末端に修飾したアミノ基とTiO_2ナノ粒子に修飾したカルボキシル基のアミノカップリング反応により、DNA aptamerのTiO_2ナノ粒子への固定化技術を確立した。 また「二酸化チタン・超音波触媒法によるがん細胞損傷」に関して、500kHzと1000kHzの超音波を同時照射するTiO_2/Dual-US法を用いたがん治療を検討した。これにはヒドロキシル(OH)ラジカルの生成量、温度上昇率の測定、がん細胞損傷効果の評価を行った。その結果TiO_2添加によるOHラジカル生成量の相乗効果が高い、最適な超音波照射条件を決定できた。また培養がん細胞にTiO_2/Dual-US法を適用すると、高い増殖抑制効果がみられることも確認した。 さらにキャビテーション気泡の効果的生成技術として超音波照射で誘引可能な新規DNAアプタマー修飾バブルナノミセルの作製技術を開発し、これが有意なOHラジカル生成能を有することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的は、研究代表者らが従来光触媒として知られる酸化チタンに超音波を照射するときわめて酸化力の強いOHラジカルが生成することを見出したことから、「腫瘍細胞を認識し、がん病巣に特異的に集積する機能性光触媒ナノ粒子の創製」と「光触媒・超音波触媒法によるがん細胞損傷技術の開発」である。前者に関しては肝がん細胞HepG2および悪性度が高くがん幹細胞のモデル細胞株のMDA-MB 231に特異的に結合するDNA aptamerの取得に成功し、酸化チタンナノ粒子表面に修飾後in vitroでのがん細胞への特異的結合を確認している。後者に関しては500kHzと1000kHzの超音波を同時照射するTiO_2/Dual-US法を開発し、その有効性が確認できた。従って当初計画した研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究申請時当初の計画には予定していなかったが、「二酸化チタン・超音波触媒法」による「がん幹細胞」の傷害評価を行う。がん組織の中には"がん幹細胞"とよばれる少数の細胞が存在し、がん組織の大部分を占めるすでに"分化"したがん細胞を殺傷しても、このがん幹細胞が生き残っている限り、がんは再発すると言われている。このがん細胞には、薬剤耐性を獲得しているものがあることも指摘されている。そこで、超音波触媒法で発生する耐性のないラジカルによるがん傷害効果が、がん幹細胞へも適応可能かを調べる。がん幹細胞のモデル細胞株のMDA-MB 231に特異的に結合するDNA aptamerを結合した酸化チタンナノ粒子あるいは超音波照射でバブル誘引可能なナノミセルの作用を検討する。本研究を遂行する上での問題点はない。
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[Journal Article] Targeted sonodynamic therapy using protein-modified TiO_2 nanoparticles2012
Author(s)
Ninomiya, K., Ogino, C., Oshima, S., Sonoke, S., Kuroda, S., Shimizu, N.
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Journal Title
Ultrason.Sonochem.
Volume: 19
Pages: 607-614
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Targeted sonodynamic therapy using protein-modified TiO_2 Nanoparticles2011
Author(s)
Ninomiya, K., Oshima, S., Sonoke, S., Ogino, C, Kuroda, S., Shimizu, N.
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Journal Title
Proc.20th Annual Meeting of the Japan Society of Sonochemistry & The International Workshop on Advanced Sonochemistry
Pages: 80-82
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